近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

不要なものを買わせるビジネスをどう考えるか

企業と顧客の関係は、本来ならばシンプルであるのが理想だ。それは、顧客が欲しいと思ったものを、企業から買う。

ところが、現代社会は、このシンプルな行為をとても複雑なものにしている。特に、ITが企業と顧客との関係の中に入り込んできた今、単純に顧客が欲しいものを企業から買うという構図は成り立っていない。

一昔前、ITやネットがなかったころ、私たちが商品を買おうと思えば、マスメディアのCMを見るか、近所のスーパーのチラシ、あとは、街角の看板や広告だった。実に、選択肢が限られていてシンプルだった。

ほどなく、顧客の購買履歴管理やプロファイリングが始まった。企業は売る立場から考えて、自社の商品やサービスを欲している潜在顧客を発掘することに力を入れる。この部分は、今やビックデータと称される顧客に関する様々な購買履歴や関係する情報の中から、データーサイエンスという方法で、顧客の好みや特性を洗い出して、そして、ターゲットを定めて、その顧客に対して、特定情報をブッシュする。

 

自然と、顧客がその商品やサービスを購入する可能性は高くなる。もちろん、ハガキなどのDMやメルマガもその類の一種だが、ビックデータを活用すると精度は高まる。データが蓄積されればされるほど、効果的である。

こういうやり方はエスカレートする一方で、顧客としては考え方によってはありがたいのかもしれない。これが、自分にとって無駄な過剰な買い物にならなければ・・・。

 

ところが、こういう分野と言うのは、巧妙で、企業の本音としては、とりあえず、余計なものでも買ってほしい。実際に、今の大半の販売の現場で働く人たちは、そういう考えの環境で働いている。如何に売るかが最大のミッションだろう結果それが使われない、役に立たない、無駄になろうともそこまで考えて売ろうとしている人は少ない。

 

余計なものを売る方法は単純と言えば単純だ。

一つは衝動買いだろう。いかに買わせるかが勝負になる。

もちろん、人間は本能的に衝動買いをしてしまう動物で、それを全くなくした社会は私もつまらないとは思っているが、IT環境の中で生活していると、衝動買いを促すしかけだらけである。

 

知らなければ買わない人が殆どだろう。しかし、魅力的な商品やサービスの情報がITを使っている環境に頻繁に現れたら、心穏やかではいられない。実際に、私も本や便利グッズにはじまり、やっぱり、お気軽に買ってしまう。

 

こう考えると、衝動買いと言うのは、実店舗でも発生するが、ネットの方は実感がない分、落とし穴にはまる危険が高い。

定期購読と言うサービスも今、定着してきた。こういうのは、確かに消耗品などについては、ありがたいと感じる時がある。ミネラルウォータを私もよく飲むが、これは定期的に保有したいものの一つである。

ところが、こういう今、流行りのサブスク的なものは、ついつい、お金を払っていることを忘れるサービスである。最たるものが、スマホのアプリと言える。

時々、ふとしたきっかけで、引き落とし明細を見たときに、気付く。昔、使うと思っていた有料アプリ。かれこれ1年使っていなかったり・・。心当たりのある人も多いだろう。

 

私はこんな時、常に思う。こういう仕組みやしかけを実際に作ったり、使ったりしている人が必ずいる。こういう人たちは、その結果何が起こっているのかを知っているのだろうかと。

 

以上