近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

営業は本当に人間力が磨かれる仕事なのか?

営業は会社経営には欠かせない。

もちろん例外はある。例えば、完全下請けの中小企業だったり、親会社から100%仕事をもらう子会社だったりすると、何もしなくても仕事は受注できる。

ただ、やはり、ほとんどの企業にとって、営業活動によって、会社経営が成り立つ。会社経営を単純化して三機能に分解するとすれば、技術(もしくはサービス)、営業、管理となる。

つまり、売るものを作るまたは提供する、それを売る、売るに関するお金のやりとりを管理する。簡単に説明するとこんな感じだ。

 

当たり前の話だが、会社はこの三位一体でバランスよく運営することが理想だ。そんな中、営業に関わる人達は、顧客開拓から始まって、会社が必要としている受注を獲得するために、日夜奮闘することになる。

 

できる営業パーソンは人間力に優れる。これがビジネス界の常識だった歴史は長い。

例えば、一つの会社内で考えた場合、営業のメンバーで受注成績はバラツキが生じる。営業力を3つに分解すると、会社の価値、商品の価値、自分の価値と言える。

このどれもに自信満々でセールスができれば、結果は自然と出る。

 

ここで、会社の価値を疑ったり自社の商品に自信が無かったりするというのは、ままあるが、これは論外とする。会社も商品にも自信満々の上で、一番重要なのは自分の価値である。

 

では、そもそも自分の価値とは何か?

それはお客様に無理やり売りつける事ではない。シンプルに言えば、お客様に人間力を認めてもらい、信頼されるという事である。こうなれば、仮に他社の商品との比較になっても強い。やはり、お客様は人間力が高い人と付き合いたいからだ。

 

私も会社経営を始めたころは、営業の本も読み漁った。社長という立場は、トップセールスと一般的に言われるが、それはある程度、会社が軌道に乗った時の話である。駆け出しの社長の頃は、単なる気合の入った営業パーソンだった訳である。

 

それこそ、会社も商品にも自信がなくても100%と強く想って、お客様に臨むのである。当然、人間力にしても30歳過ぎそこそこで、磨かれているはずがない。

そんなとき見つけたのが“営業は人間力が磨かれる仕事である”。私も熟読したし、営業のスタッフや幹部の読本とした時期もある。

あれから、20年は裕に超えた。営業力を常に磨きながら、試行錯誤もしてきた。

 

時代は大きく変わり始めた。

改めて、営業における人間力とは何か?

今の私はこう考えている。

自分の会社、自分の商品は健全か?

本当に、それを自信をもってお客様に提案できるのか?お客様に不利益な事、不都合なことを隠していないか?

本当のことを伝えることを怠っていないか?

 

仮にこの部分はクリアーできたとして、自社や自社の商品は、世の中の健全なビジネスの方向に照らして、ギャップはないのか?

SDGsと会社が標榜しているが、表面だけではないか?

自社の商品のサプライチェーンは健全か?

 

こういうことに、心底向き合う人間力が必要な時代である。当然、営業における人間力もその方向に変わっていく。ただ単に、受注成績が優秀だからと言って、健全とは言い難い。正直で誠実な販売活動ができることが、とても大事な時代になりつつあるのである。

 

 

以上