近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

とんがる事とつながる事

どんな世界にも、自分が長年やって来た仕事や熟練の技にこだわる人が沢山いる。

職人の世界が典型的だが、こだわりの農業する人にも多い。それぞれの方と話をするととても純粋な人が多い。

だけれども、自分のこだわりについては、そう簡単には、相手に譲ることはない。

 

私も平均的な目線で見ると、こだわりが強いタイプだが、一方で人の調和をとるのが好きだ。単に人の関係を平和にまとめようと思っている訳ではない。仕事で何か一つでもプロとして結果を出そうとすれば、そのやり方やノウハウは千差万別、もしかしたら、人の数だけ存在するかもしれない。もちろん、私の持論でもあるが、基礎的なスキルはおおむね一致している。

 

これはスポーツで考えれば分かり易い。野球にしてもサッカーにしてラグビーにしても、概ねスポーツする以上は、基礎体力が必要だし、ストレッチで体を柔軟にすることが重要だ。

その上で、様々な応用が生じる。

例えば、野球のバッテンィング一つでも、実に様々な打ち方がある。野球に限らないがゴルフするにしても、応用と言うのは、本当にやり方が沢山ある。特に、誰かに教わろうとすると、その人のこだわりとお付き合いする必要が出てくる。

 

一方で、複数の人に教わるやり方もあるが、それこそ、迷路にハマる。私自身、ゴルフはゴルフ雑誌から知識を得ていたが、2、3年複数のゴルフ雑誌を定期購読しているうちに、一体、なにが自分に合っているのか分からなくなった。

それ以来、結局は我流に戻した。これはこれで、大きな問題かもしれないが、ゴルフはそこそこでよいと思っているので、こんなものかと思っている。

 

最近、農業ほどこだわりの強いものはないと思っている。職人の世界でもあるが、農業の基本は、土地との付き合いである。それは、周辺の自然環境との付き合いとも言える。そうすると、同じ環境はないとしたら、農家一人一人のこだわりの農業が生まれることも自然にわかる。

 

一方で、農家の後継者問題が深刻な中、なかなか、引き継ぐことはできない。もちろん、一人ずつの農業の知恵やノウハウを引き継いでいく必要があるかという問題もある。ノウハウの引継ぎではなく、その土地に新しい就農者が来て、自分のやり方で、農業をすれば問題は解消される。

 

ただ、今は幸いにして、ITの進化の恩恵を享受することができる可能性がある時代だ。そういう思いっきりとんがった農家一人一人のこだわりも、情報として残し、知恵やノウハウをデジタルデータで残すことができる時代である。

数多くのそういうデータを蓄積していく。それが今流行りのビッグデータということになる。あとは、そのデータの利用価値があるかどうかだ。

 

私は、日本の農業の財産にもなりえる可能性があると思っている。

集まったデータをサイエンスとして解析する。もちろん、AI君の手助けは必要だが、そういうデータにも農家一人一人のノウハウの集大成が源泉になることはあっても、農家一人一人のこだわりは、消えてなくなる。

一人一人に属人的にへばりついた、ノウハウや知恵をデータ化する意義はここにあり、そうすると、利用する側は、単純にそういう知恵やノウハウを自由自在に使うという前向きな発想だけで、スムーズな活用ができると私は考えている。

 

以上