近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

メンテナンスが充実している日本

何事もそうだが、その環境に慣れてしまうと、そのありがたみや、自分たちが如何に恵まれているかを忘れてしまう事が多々ある。

ある意味、人間は慣れるということが平穏に生きるために重要だし、これは動物的な本能かもしれない。

そういう意味で、日本人が日常あまり意識することがない、日本の素晴らしさが幾つかある。そのひとつが、メンテナンスである。メンテナンスサービスと言っても良いと思うが、実に日本は、新興国などに比べて相当充実している。

 

もちろん、今時点で比べて議論しても始まらないことは多い。ベトナムや他の東南アジアの多くの国は、まだ、日本のような先進国に比べると、まだまだ、これからの部分が多い。だから、単純に比べるものではないが、私は、こういうアジアの国やアフリカの国で感じていることは、果たして、もっともっと発展した先に、日本の様なメンテナンスが充実した状態を実現できるのだろうかということだ。

 

メンテナンスというのは、サービス的な感覚で言えば、アフターフォローである。

もう20年以上前、ベトナムからIT研修生を神戸に受け入れたときに、一人のベトナム人が言ったことが今でも鮮明だ。彼は、後に帰国して起業家として大活躍しているので、そういうセンスがあったと言ってしまえば、それまでだが・・・。日本のマンションの管理の仕組みは素晴らしいと。これをベトナムではじめたいと。

これには、驚いた。日本では当たり前だったからだ。

 

日本には、色々なマンションのブランドがあるが、彼が住んでいたマンションも有名な一つであった。当時のベトナムでの自国での状態と比べたわけでもなく、日本の住まいに関するメンテナンスサービスに驚き、ベトナムで実現したいと目が輝いていたのを忘れることはない。

 

もう一つ、ベトナムネタで書くと、私が10年以上前に、ホーチミンで実質住んでいた時のこと。新築のマンションの一室を賃貸し程た。あろうことか、私が日本に帰国している2週間ぐらいの間に、トイレの水回りから、漏水した。階下の部屋に水が漏れた。当然の事ではあるが、大騒ぎになった。私としては、キツネにつままれたような話であり、日本感覚だとあり得ない話だ。所有していた訳でないにしても、新築物件だ。もちろん、住んでいたので、新築であると言うのは、実感があった。

日本なら中古でもありえないが、突然、水漏れの発生である。私が、ベトナムに戻って、そもそも、私の被害(つまり、家具などが水浸しになっていた)の話を解決しようと話していると、オーナーが怒り出したのだ。

あなたが、ずっと、住んでいれば、水漏れもすぐに発見できたでしょうと。流石に私も、いい加減にしなさいと。通訳を通して返したが・・・。

 

すでに10年近くベトナムでは活動していたので、どういう状態かサービスの考え方は、などはある程度知っていたが、わが身に起こると、なかなか、実感が違う。

 

まあ、これは少し大げさに思う人がいるかもしれないが、数年前のベトナムでは、マンションなどは、新築で買って数年もしたら、あちこちが壊れて、メンテナンスは自分でするというのが相場だった。要するに、売って終わりの商売だ。もちろん、日本の昔もそうだったことは間違いない。しかし今は違う。

ベトナムなどでも、日本のようにあらゆることでメンテナンスが行き届いた国のように進化するだろうか?

私は、こういうアフターフォロー的なところ、見えないところでの地道なサービス、先を考えた、転ばぬ先の杖の対応、こういったことは、日本人だからできるのではと思っているところはある。だからこそ私たち日本人が、そういう恩恵を受けていることを普通に考えているようにも思う。日本は、これから新しいものではなく、古いものを上手に使い続ける時代になるだろう。家もしかり、車もしかり、中古の価値はどんどん高まっていくだろうし、そういう中でのメンテナンス力は、また、更に次の次元になって行くと思うが、そのためにも、私たち生活者も意識を変える必要があると思う。

 

 

以上