近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

サービス業はムラが大敵

サービス業は第三次産業である。

だから、ものづくりではない。感覚的には、人が人に対して、対価を得て行うサービスを提供する仕事であると考える。

 

日本はモノづくりにおいて世界で突出して評価を得ていた時代がかつてあった。もちろん、日本のモノづくりがすべてにおいて、輝きを失ったわけではない。だが、高度経済成長期を支えたモノづくりの力は、新興国などの台頭で、徐々に弱っている。

もう一つ、日本が誇る産業の一つにサービス業がある。これは、欧米などの先進国ではあまり気づかないことが多い。生活者の価値観の違い、顧客の求めるものの違いであっさりと片付いたりするので、日本のサービス力は相手の国の中では、特段目立つものではない。

 

ところが、東南アジアや中国では事情が全く違う。日本のサービス業はすこぶる評判が良いのである。これには、2つの観点があるので、分けて説明する。

 

一つは、インバウンドと呼ばれる、海外から観光客を呼ぶ経済活動の中にある日本国内のサービス業だ。こちらに関しては、欧米などから来た人の方が、東南アジアや中国などから来た人よりも、日本のサービスに関して、関心は高いし、実際に体験しての満足度は高い。

彼らの自国での期待値と、日本に来ての期待値は違う。これは至極当然の事で、観光客は、日本に来て、感動や満足や別世界の体験を期待している。そこに日本のおもてなしのサービスの素晴らしさが、さらに満足度を高める。

 

一方、東南アジアや中国などの人たちは、日本のサービス力には期待はしているものの、ほかの事で目が奪われる。爆買いと言うのもそうだし、見るもの体験するもの全てがワクワクの連続で、特段サービスだけに関心が向くわけではない。

 

では、2つ目であるが。

それは、ベトナムやタイやインドネシアなどの東南アジア。中国でもそうだ。

ホテル業、小売業、飲食業、美容室、ショッピングモール・・沢山のサービス業が存在する。それぞれの国の事情は、発展度合いが違うとはいえ、顧客というのは単純で、一定のものの品質や商品などに満足すると、次は必ず、人がするサービスに期待する。

 

これは、今の日本が典型で、仮に同じ料理が提供されても、ほとんどの顧客は、サービス力が上で店の雰囲気が良いレストランを選ぶ。

日本では当たり前だが、このサービス力が新興国では、差別化要素になり付加価値になるのである。ベトナムのこの20年間のサービス業の変化を観ていると実に興味深い。

 

これは、国の違いに依存しない。人間が本能的に求めるものだと気づく。

例えば、日本では、こういったサービス業に従事する高校生のアルバイトが沢山いる。

仮に、こういう人たちが、ベトナムでアルバイトしたとしたら、とんでもないことになる。こんなレベルの高いサービスを提供できる人は、ベトナム人では、まだ、ほとんどいない。

 

もちろん、時間の経過とともに、随分、ベトナムのレストランやホテルなどもサービス力が向上してきたが、まだまだ、一部だ。

 

冷静に比べると、日本中、どこに行ってもサービス力は、ベトナムの上位のサービス力がある店よりも上だ。もちろん、たまに日本でも外れもあるが、それも気になるほどでもない。

 

私は、中国人やベトナム人の友達から、耳にタコができるぐらい聞かされてきた。

モノづくりでは日本に追いついても、サービス力では絶対に無理と。だから、日本人が来てやって。と期待される。今のところ、世の中はこの通りに動いている。

 

で、日本のサービス力、実は何がすごいのか。それは確かにおもてなしということもあるが、実際に提供している側の実情を知っていればすぐにわかる。

チームワーク力、標準化、マニュアルの活用、そして笑顔。これらを支える公正な人事評価。これをPDCAで回す。そして、ムラのないサービスを実現する。確かに、日本人にしかできそうもない領域なのである。

 

 

以上