近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

コミュニティに溶け込むことは難しいのか

定年後のシニアでよく話題に上るのが、地域のコミュニティになかなか溶け込むことが出来なくて、苦労している人達のことである。映画にもなるぐらい今の世の中では切実なのかもしれない。

 

象徴的に書けば、今どきの定年65歳まで、エクセレントな会社を勤め上げた元部長が、定年後、地域の町内会やボランティア活動で、コミュニティに溶け込めないという話し。

ストレスを溜めて毎日を悶々と過ごし、挙句の果てには家の中に引きこもり気味に。とうとう、長年連れ添った奥様にも愛想をつかれ熟年離婚にまで発展しそうになる。

 

昨年、ある映画でこんな展開を観たことがある。そもそもこういう類のドラマや映画は現実感も確かにあるが、他人事と思っている人が多い。でも興味だけは持つ。まるで青春ドラマのようでもある。もちろん、こういうケースは世の中にあるあるだ。しかし現実に、こういう大きなギャップに苦しむ人は実際には少ない。

 

このケースをもう少し掘り下げていくと、高度経済成長時代の典型的な会社人間の像が浮かぶ。人物的にどうのこうのでなく、長年、一流企業に勤めて、出世コースをまっしぐら、気付いてみたら、会社員の中では成功者と評される部長にまで上り詰めた。

ところが、知らず知らずのうちに、仕事しか出来ない人になっていく。仕事を離れた一般の社会に適合するスキルやコミュニケーション力が身についていないのだ。高度経済成長時代の犠牲者と言えるかも知れない。

 

定年退職したら、豊富な退職金で、残りの10年、15年を年金と共に悠々自適に暮らす。こんな青写真が誰しもあったはずだ。ある意味、そういう先の保証ではないが、自分の老後社会にはセーフティネットがあるとの前提で、仕事に一心不乱取り組んできたのだ。社会活動やコミュニティに溶け込むスキルを磨くことを犠牲にして。

 

世の中の変化に適応出来ずに苦しむ人は話題になり易い。特に、こういう事例で強調されるのが、部長という呼び名や所属する会社の肩書が何も役に立たない、通用しない世界で、一個人として、社会生活ができますか?地域活動がこなせますか?良好な人間関係が新たに構築できますか?という問いかけでもあるのだ。

警鐘を鳴らす役割でもあると解釈する。

 

少なからず、シニア予備軍としてこういうことを知れば、今から準備すれば十分に間に合う。また、幸いにしてと言うか、必然の流れで、世の中は社会貢献活動に関する価値がだんだんと高まっている。企業も行き過ぎの感はあるにしても、SDGs流行だ。

 

少なくとも現役の会社員は、SDGsの知識が身についた時期だと思う。ここで大切なのが、企業サイドのSDGsだけでは、バランスが悪すぎる。今、日本は欧米に比べて遅れ気味ではあるが、ようやくエシカル消費が広まりつつある。

企業がなかなか変革出来ないなら、生活者であり顧客候補でもある一般市民が変化する方がSDGsの実現の近道である。

 

だからこそ、私は言いたい。

シニア予備軍である今から、生活者目線での地域活動や環境配慮行動、応援投資、応援消費を積極的に行っていく。

こうすることで、働くことと別のコミュニティや活動するのではなく、こういう社会資本とも言えることころを充実する活動してこそ、経済活動が意味のある時代になったということである。だから、自然体でシニアになっても過ごせるようになる。

 

今のシニアの人は、地域コミュニティは女性が中心という意識を持っている人も多い。

だからこそ、男性シニアは社会全体の課題を理解して、働いていた時の様な気張った気持ちではなく、自然体で初めて行けば、わざわざ、異質に感じる場所に適応する努力というストレスや苦労は無くなると思う。

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以上