近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

社会貢献型ビジネスへの投資は難しい?

SDGS、ESG投資、エシカル消費、サステーナブル。一昔前であれば、CSRやCSV。

 

こんな用語を並べると、なかなか説明が難しくなるが、これらは健全な社会を構築するための取り組みや考え方を表現した用語だ。

 

詳細の解説は、皆さんで調べていただくとして、

今、一般の生活も会社経営も大きな岐路に差し掛かっているのは間違いない。

コロナ禍の影響もあるが、そもそもコロナ禍以前から、環境に配慮したビジネスへの再構築や新規事業の登場が必要な時代になっていた。

地球温暖化の対策が最たるものだが、地球環境に負担をかけ続けて環境破壊が進行する日々、もういい加減に経済の考え方を変える時期であるのは間違いない。

こんな背景の中で、必然的に、企業に対する投資の判断材料に環境重視が言われるようになった。

株式市場でも、環境に配慮したビジネスをしている企業の新たな評価基準も生まれようとしている。その最たるものがESG投資という事になる。

 

言い方を変えれば、環境に配慮したビジネスや環境ビジネスそのものは社会貢献型のビジネスと言える。しかし、企業の改革はなかなか進まない。重要だと分かっていても、なぜ、経営者が最優先で取り組めないのか?

 

一言で言うと、社会貢献型ビジネスは儲けにくいからである。

実は、今の経済メカニズムで儲けることは、環境に負荷をかけることが前提とも言える。

 

例えば、世界に渡る食料のサプライチェーンで考えてみれば簡単に分かる。日本の国土面積をもってすれば、労働力不足を改善さえすれば、日本人が生活する食料は十分国内で賄える。国産品に全て切り替えたとしても、特定のものを除けば日本人の食生活で不自由することはないだろう。

ところが、日本は今や先進国の中でも異常なぐらい食料自給率が低い。

 

この事実を結構知っている人も多いが、このことを問題視して危機感を感じている人は少ない。

一つは、食糧安全保障の観点から見ても問題であるが、今回は、環境配慮、健全な食料の確保と言う観点から考える。

 

まず、本当に安心安全な農産物かどうかについては、日本が輸入しているものはとても不安が募る。また、環境面で言えば、輸入コストは膨大だ。フードマイレージと言われる。これは当然に環境負荷につながっている。

今は、輸入された農産物で、日本の食産業は成り立っている。コストが安いのが最大の理由だ。これを国産に切り替えると、食産業は全く儲からないビジネスになってしまう。

 

社会貢献型ビジネスというのは、目先の利益を追うのではない。最低でも、数年から10年ぐらいのスパンで考えないと結果が出ない。

だから、通常の投資感覚では設立しない。

結局、リターンを何に求めるかになる。

メディアなどを見ていると、ESG投資にしても、SDGS的な活動にしても、儲からないから長続きしないという風な論調も見かける。

 

少なくとも、ここ10年ぐらいの社会貢献型ビジネスについては、儲けを度外視したスタンスで関わる人達が増えないと良い結果は得られないと思う。

 

話は変わるが、日本特有のもっと深刻な課題がある。それは高齢化社会を如何に豊かにするかだ。これに関しても、単純に高齢者=ほぼシニアを顧客として考えようとすると、儲けるビジネスは成立しない。

一部の富裕層のシニアであれば別だが、年金だけでは生活できない人達のサポートをどうするかが最大のカギになる。

そのシニア層が働いて対価を得ることも解決策の一つだが、シニア全体の20%でも達成できれば、相当な数字だろう。大半の人は望み通りには働くことが出来ない。

自立は大切な事だが、国の福祉的な発想だけでなく、新たな経済メカニズムに組み込んで解決する必要がある。

シニアの豊かな社会生活を企業が社会貢献としてサポートする仕組みが必要であると考えている。

 

以上