近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ベトナムに学ぶ、世界の多様な国との付き合い

私が知る限りだが、ベトナムほど、世界の多様な国々との付き合いが多い国は他にないのではと思う。ベトナム社会主義国であるから、当然、同じような政治体制との国の付き合いは、当たり前にある。

私がベトナムで活動してすでに20年を超えているが、やはり、日本人は、共産主義社会であるベトナムについて、特に関心が強いようで、このあたりは、数多くの経営者やビジネス関係の人から質問あった。

私は、中国にも縁があるが、深く精通している訳ではない。ドイモイ政策で有名な経済政策などは、ベトナムは中国をベンチマークしているところは多いと感じる。

ベトナムは、縦長で、日本とほぼ同じサイズなので、日本人の感覚的には、とらえやすい国のサイズである。

 

 

地形を並べてみれば分かるが、よく似た国土の形なのである。ただ、日本と決定的には違うのは、大陸国であることだ。長い歴史を少し勉強してみればわかるが、近隣国との争いが絶えたことはない。だからこそ、大陸感覚の付き合いも熟知している。

 

私が一つ気に入っている本がある。それは、「中国との付き合い方はベトナムに学べ」である。

 

 

一見、ベトナム人は、日本人よりも小柄で温和に感じる。ところがどっこい、色々な場面で接していれば分かるが、なかなかのタフネゴシエーターである。

中国で苦労する日本企業も多いが、ある意味、もっと手ごわいとも言える。

日本は、少しずつ、グローバル化が進んでいるとはいえ、交渉力はどんな世界でも総じて弱いと言われている。実際、ビジネスの狭い世界でも私もそれは実感する。

ただ、日本人の律儀でルール尊重の真面目な姿勢がオオーバーラップしているのも事実で、短期的なネゴシエンーションでは弱くても、中長期的な粘り強い継続を前提としたネゴシエーションは、日本は抜きんでていると思う。

 

今年は、ベトナムと日本の国交樹立50周年である。私にとってもワクワクする。ベトナムの強みは、世界に臆することなく、米国でもヨーロッパでも中国でもロシアでも、上手に付き合っている。一見八方美人に感じる部分もあるが、ビジネスだけ見てもなかなか抜け目がない。

日本人の経営者が勘違いする最大の原因は、ベトナム親日国で日本に多大な期待を寄せていると思っているところである。

もちろん、これは、一部は当たっている。

この20年で、日本人との交流も増えて、ベトナム人の経営者層も日本に来ることが多くなってきた。そういう意味では、他の国と同じようなファンは増えていると思う。

 

一方で、日本人は、いまだにNATOであって、リスクテイクが苦手だ。当然、ベトナムから見たら、これだけエールを送っていても、なかなか、行動に移さない。もう待てない。という雰囲気が、コロナ禍直前は、ピークに達していた。

 

もちろん、日本から見たら市場調査やFSなどを繰り返した挙句に、時期尚早という判断が大企業中心に多かった。とても、残念な事である。マーケットとしては、確かに10年後かもしれないが、今、ベトナム人と付き合う事で得られることは計り知れない。

その一つが、世界と多様に付き合うベトナム人である。日本人が苦手なグローバル対応の弱点を補完してもらえるのは間違いない。

もちろん、依存という事ではなく、そういうベトナム人に刺激を受けながら、日本人もタフネゴシエーターとして、ベトナム人と共に健全な世界を創ることに、まい進していけたらと思う。

 

以上