近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

違いからはいる日本人の課題

ベトナムで長年活動してきて、しばらくの間、判で押したように質問されたことがある。

それは、2つだ。

 

一つは、現地で稼いだお金をどうやって日本に持ち帰ることが出来ますか?

もう一つが、ベトナム人と中国人は違いますよね?

いまでこそ、こういう質問を投げかけてくる人は減ったが、実態は定かではない。

特に、コロナ禍で2年ぐらいのブランクがあるので、今後どうなるかは分からない。

 

前者については、現地で稼いだものは、現地で再投資すればよいというのが私の基本スタンスなので、相手によるが、私の考えを常に伝えてきた。

この話は、ここまでの話である。

 

少し奥が深いのが、後者の国籍による違いである。人種による違いと言い換えても、外れてはいないだろう。

アジアとの付き合いでいけば、海外進出に関しては、製造業中心にタイへの進出が始まった。今やトヨタがタイの製造業の発展を支えてきたのは、誰の目にも明らかだ。その後、製造業のアウトソーシング先が中国に拡がり、その後の中国の発展は、皆の知るところだ。

それと呼応するように、中小企業の様々な業種で中国進出が盛んになった。中国のこの20年の経済発展は凄まじい勢いだ。併せて、技能研修生、留学生などが日本で生活するようになった。必然的に、この20年は、日本が中国人と関わる機会は劇的に拡大した。

 

一方で、生活習慣やビジネスのやり方が日本とは違う中で、日本人にとっては中国人と仕事することは骨が折れたのも事実だ。特に、日本がかつて得意とした社員の会社への忠誠といった部分では、中国人に期待した分、失望した人が続出した。

私もそういう体験がある。

 

一方、ベトナムが中国のチャイナプラスワンとしても、新規のマーケットとしても注目を浴びだしたのが、10数年前。

だんだんと、ベトナム人のプレゼンスが日本人の間で高まってくると、きまって質問を受けたのが、冒頭に書いたことだ。

 

どこでそうなったかは分からないが、日本人のベトナム人に対する印象と言うのは、判で押したように決まっていた。

日本人と似ていて、真面目で誠実で、会社への忠誠心も高いですよね。

多くの人の質問をまとめるとこんな感じのベトナム人像だった。勝手に中国人に期待していた反動もあったと思うが、過度にベトナム人像を日本の好みに作っていたと思う。

 

私は、自分自身の中国人やベトナム人、他の国の人との付き合いから、ある結論に達していたので、私の返答もパターン化していた。

そのうち、人から聞かれる前に、セミナーで先に話するようになったし、その頃出版した本にも書いた。

 

“どこの国の人も一緒ですよ。新興国は。日本以外はみな一緒だと考える方が自然ですと。"

 

もちろん、国ごとの違いはあるのだが、それを言うなら、生活環境、気候による違いの方がよりギャップ感が大きい。

例えば、縦長のベトナムは、日本の縦長の事情とよく似ている。北海道と沖縄の人たちの気質や生活習慣の違いと、ハノイホーチミンのそれとそっくりなのである。

 

こういう事例は、アジアだけでも枚挙に暇がない。そもそも、人種が違うという話ではない。今は、ホモサピエンスとしての学説が主流で、どこの国の人も根っこは同じだ。同じ人間という事だ。

 

私は、20年ほど前から、今でも考え方は変わらない。日本人は違いを見つけようとするよりも、共通事項をしっかりと意識して、それに沿って、人間関係を構築する必要がある時代だと思っている。

そういう意味での、真のグローバル化がこれからの日本の課題だと考えている。

 

以上