近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

人間はどうして新しいものを欲しがるのか?

人間が新しいものを欲しがるから、新製品が登場するのか?

新製品が生まれるから、新しいものを欲しくなるのか?

どちらも正しいような気がするが、今の日本は、とにかく新しいものが氾濫している。

 

車にしてもお菓子にしてもお酒にしても・・。次々と新商品が誕生している。お土産なども典型だ。贅沢が過ぎるこの日本の状態は、もう20年は続いているように思う。今ではすっかり慣れてしまい、新商品の登場で、ワククワすることも減って来た。

そういう社会が当たり前化しているように思う。一方、新興国は国によっても違うが、まだまだ、そういう状態ではない。日本の数十年前ぐらいの商品でも喜ばれる国は沢山ある。

こういうギャップを感じると、日本の今の状態が良いとは決して思わない。明らかに、無駄な事をしている。もったいないという言い方もあるし、地球資源の浪費をしている状態だとも言える。

 

一方で、日本もリサイクル、リユースの考え方も進展してきたと思う。私が約30年前に創業した時に最初に手掛けたビジネスは、ベビー用品のリサイクルだった。

おさがりの会と名付けて、売りたい人、買いたい人に会員登録していただいて、商品を売買していた。時は、リサイクル活動が世の中に広まりつつあった時代で、半年で登録会員は1000人を超えた。

その当時の計画では、1年後一万人の会員を目指していたし、阪神大震災がなければ、実現していたと思う。

そういう時代だったのである。

それから、中古ビジネスは多くの業種で一般化されてきた。書籍、ゴルフ用品、厨房、オフィス家具・・。考えてみれば、それだけ日本には商品価値のあるものがすぐに使われなくなる状態だった訳である。

 

その当時から新興国の人達との付き合いの中でも、今でも衝撃的な会話を忘れない。神戸のとある焼肉レストランで働いていた、中東出身の若者に日本ってどう?と聞いてみたことがある。

 

即座に、宝の山です。日本人には、ゴミだとしても、商品価値があるものが山のようにありますと。ビジネスチャンスにしか見えませんと。言われたのを昨日のことのように覚えている。

 

国内に限らず、今は、世界中の新興国に日本の中古は出回っていると言っても過言ではない。特に、中古の車やバイクは重宝されている。

こういうリサイクルやリユースは、SDGsの観点から考えても、有益な活動でありビジネスである。

だからと言って、今まで通り新商品を次々と生み出さざるを得ない経済メカニズムでは、タンクに水を注ぎながら、水を流しているようなものである。

言い方を変えれば、中古商品を生み出すために、新商品を生み出している、と言っても過言ではない。

人間の欲求と言うのは、不思議と言うか手ごわいものがある。私も他人ごとのように言うつもりもない。やっぱり、今の日本で生活していると、ついつい、余計なものを買ってしまうし、新商品も気になる。衝動買いも手伝って、やっぱり、無駄な買い物の繰り返しである。

 

じゃあ、企業側が経営方針を転換して、新商品開発をやめるとどうなるだろう。間違いなく、顧客離れが始まってしまう。つまり、新商品を出さない会社は顧客満足度か下がっていくだろう。

 

その新商品が有益かどうかよりも、新商品を出すことが、その会社の価値の様な状態とも言える。今でも神戸の商店街を時々歩くが、本当に驚くばかりに新商品が売っている。

新商品と思うから、どうしても気持ちが躍るが、一方で、仮に数年前の商品を新商品として売っていたとしても、その分野に精通していなければ、気付きようがない。

 

何度も言うが、新商品でないと売れないという今のビジネスを根底から変える妙案はないものか。いつまでも、こんな贅沢で無駄な生活は続くわけはないのだから・・・

 

 

以上