近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

“記録”の時代に“記憶”に残る仕事をしてみたい

“地図に残る仕事”をしてみないか?

 

もう何年前だろうか?

TVのCMかベトナムの看板だったかは定かではないが、このフレーズを見た時のゾクゾク感が今でも体に残っている。

世の中にキャッチコピーは沢山あるが、私にはとても強烈なインパクトがある言葉である。

これは大成建設が商標を持っているようだ。

 

私は、ゼネコンで現場監督を目指したが、今は違う仕事をしている。

なぜ、現場監督をしたかったか・・それは学生時代の無知で未熟な中でも、なんとなく、生活空間や街、都市にビルや商業施設が出来あがる様子を幾度となく見ていて、こういう創造的な仕事に惹きつけられたことを覚えている。

 

そもそも、地図と言うのは土地に何か書く話ではない。人間が誕生して以来、道を作り、橋を渡し、家を建て。そういうことを長年に渡って繰り返し都市や街が生まれ進化する。

 

そして常にスクラップ&ビルドの繰り返しだ。

もちろん、世界遺産や国宝のようなものは1000年、2000年を越えて保護されるが、ほとんどの建築物や道路は耐用年数を待たずとも作り替えである。(なんともったいないことか)

 

そういう意味では、形は変えながらも人類誕生以来、継承されてきているものがある。それは、物理的な建物ではなく、その街の文化や生活様式などであり、本当に感動するぐらいの変遷の歴史がある。

 

今であれば、明治時代以降は、結構写真が存在しているので、そういう変遷を振り返ることが出来る場所もある。

例えば、私が今住んでいる神戸。

150年ぐらい前の神戸港界隈の写真を見ると、様々な想いが脳裏に浮かぶ。

この進化のスピードにまず関心と感動である。

今の神戸港と150年前を比べると、たったこんな短い期間に良く進化したものだと感心する。そして、神戸港を埋め立てした場所に住んでいる私としては、その当時の人から見たら、考えられない状況であることは容易に想像できる。

まさしく地図に新しく生まれた街である。

 

こんな風に考えていくと、地図に残る仕事とは何かであるが、記録と言う意味での地図ではなさそうだ。

私なりに勝手に解釈する。

地図の意味は、単純にある場所に新しく高層ビルが出来て地図に載る。新しいトンネルを掘って地図に載る。こういう話だけではない深い意味を含んだコピーだったと今にして思っている。

 

ようするに、建物や土木の建造物と言うのは、少なくとも、それを利用する人やその周囲の生活環境にも影響がある。それが長年積み重なっていくと文化や伝統が生まれる。それが1000年も経てば語り継ぐべき遺産になるかもしれない・・。

 

地図は記録と見れば、今どきは、デジタルデータ化されている。この視点で考えれば、ビルやトンネルの情報は永遠に保存することが出来る。未来から振り返ると、克明に存在した場所や設計図、施工過程の出来事など様々なものが全てデータとして残る。

理論上は、何万年後でも、それらの情報と写真や映像を重ねると、バーチャル上では、歴史上の年や街はいつでも再現できることになる。

こういう風に考えていくときりはないが、現実に記録の時代とはそういう事である。

 

私は、いまさら、現場監督をしようとは思わないが、縁があってITの仕事を軸足に色々な事で仕事やビジネスを楽しんでいる。

IT活用には自信を持っている分、記録の事ばかりに目が行きがちになる。

 

しかし、やはり折角の人生、

記憶に残る仕事もしてみたい。

 

日増しに思うようになってきた。

記録に残る時代だからこそ、記憶に残る仕事。

今後は、こういう取り組みをしようと強く思っている。

 

今の私にとっては感じるメディアがそれに一番近いように思う。

ある意味、建設関連もデベロッピングと言われるが、メディアの世界でのデベロッピングと考えると、建設業界が目指してきたこととも通じるものもある。

そして、都市や街や建築はメディアと表現されることも多い。メディアデベロッピングを軸に、記憶に残る仕事をしようと思う。

 

以上