近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

記録の時代の転職について考える

人生100年時代。

会社員で働くにしても、一生同じ会社で過ごす人がどれぐらいいるだろうか?

 

日本の終身雇用制はとっくに過去のものとなった。私が社会人になりたての頃はまだ、終身雇用制が存在した。

36年前の事である。

新入社員の立場では、実際に定年間際の人達との接点はほとんど記憶にないが、一生一つの会社で勤め上げた人が60歳定年の時代だった。

 

多分、その頃の人生は75年ぐらいではなかったか。実際に調べてみると、その時の平均寿命は男性74.54歳。女性80.18歳だ。

 

私は、20代で2回転職して、3社で会社員をした。周囲はあきれていた。

まだ、新入社員が3年で辞めるのが当たり前になっていなかった頃だ。だから、落ち着きのない、フラフラしている一人として扱われた。

 

別に肩身が狭かったわけではないが、周囲は、とりあえず入った一部上場のゼネコンを4年弱で辞めるとはと・・あきれていた。ちなみに、建設氷河期の時代でもあり、同期入社の男性社員9人の中で、ぶっちぎりで早く退職した。同期の女性と比べても、2、3人の寿退社に続いて、会社を辞めたのは早かった。

 

実際、31歳で創業したのだが、最初の会社を退職した時は、創業が頭にあったわけではない。ただ単に、現場監督をしようと思って入ったゼネコンでITの仕事に配属されたので、どうせだったら、その業界で。という単純な選択だった。

 

ただ、結果的には、最初の転職が自分の人生を左右した判断になったと思う。

 

OA花形時代(この時は、まだITではなかった)であり、大手企業数社を転職活動で受けた。人材紹介会社にも登録した。

 

だから、私は、この時に初めて自分の転職用の経歴書を書いたことになる。

 

今でいうIT系、ガス大手、BtoC大手企業の情報システム室で最後まで迷っていた。結果は神戸のポートアイランドにある小さいIT系の人材派遣会社になった。

決め手は、社宅を用意するからの社長からの一言だった。

 

 

 

その後、私の今につながっていく訳だが、今日の本題ではないので割愛する。

 

2回目の転職は、CSKグループだ。

派遣の仕事で知り合った課長がCSK神戸システムの社長になるから来ないかと誘われた。

人生で最高に天狗になっていた時期である。

 

社長のお人柄に惹かれたのと、この頃には、30歳までに独立することを考えいたので、準備にもピッタリと考えてすぐに決めた。

もちろん、3年の約束で入社した。

 

この時は、形式上の経歴書は提出したと思う。

その会社でいる時に、世の中のバブルが崩壊した。実に様々な経験をした。小さな会社ながら、リストラもあった。

 

私は、約束の3年で独立した。

以来、私は何人の経歴書を見てきただろうか?

1000人は軽く超えているし、海外の候補者の経歴書も沢山見た。

 

もちろん、いまでも、採用活動などで、経歴書を受け取るし、中身はさっと目を通す。

しかし、正直、出身地と学校と趣味ぐらいにしか見ない。

あと、適性検査は役に立つものもるある。

 

新卒と中途の中身は当然違う。

40歳ぐらいになると、業務経歴書はぎっしり書いている人で3、4枚のケースもある。

私は、経歴書の書き方を指南する立場でもないし、そういう仕事にはまったく興味がない。

 

最近真剣に業務経歴書は必要ないのではと思っている。

思っているが、情けないが、完全に切り替えができない。やっぱり、礼儀もあるので、面接の際は必ず目を通す。

 

もう20年以上前だろうか?

超有名な日本の会社が大学名を見ずに採用する。というニュースがセンセーショナルになったことが記憶にある。

今時代は劇的に変わった。仮にSNSをしていれば、氏素性は殆どわかる。

 

そうなると、そもそも、経歴書は必要ないだろう。AI君が判断しようと思えば簡単にできる。GAFAなとが、就職活動支援のサービスを始めればどうなるだろうか?

 

一方、全く、自分の情報をネットやデジタルの社会に残さないで、会社員ができるだろうか?

転職活動ができるだろうか?

仮に、自分は、自発的に投稿しなくても、すでに記録されている時代である。

 

そこで、見方を変えてみる。

データとデジタルとネットあたりで考察してみると簡単なことが分かる。

アメリカなどでは、転職に元上司のリアァレンス(推薦状)が必要だと聞く。真偽を確かめたわけではないが、会社を始めたころから、これは良い仕組みだと思っている。

 

日本でもこの習慣があればよいのにと何度思ったことか。元上司と稀に喧嘩もするだろうが、基本は良好な人を望みたい。

 

どうしてそう思うか?

正直、採用は失敗することが多い。

ただ、新卒の場合は常に未知数なので、いまどき、1年未満で辞めても、それほどショックはない。

一方、中途採用の場合は相当応える。

仮に40歳の経験者を人材紹介で採用すると、年収700万円として、紹介料の相場は30%で210万円必要になる。

半年ぐらいで辞めると相当なダメージになる。

 

一方、見立て違いで、スキルのアンマッチもこれまた問題だ。中途採用ぐらい難しものはない。

 

期待するのは即戦力だが、これまた面接での判別は難しい。

 

プロ野球の世界でも、トレードで成功するとは限らない。

 

こういうことを、数えきれないぐらい経験していると、経歴書や業務経歴書には関係なく、その人物の力量やスキルを見分ける方法はないかと真剣に願望する。

 

そんなことを30年近く続けてきたが、ようやく大きな変革の兆しが見えてきた。

世界の働く人のビックデータで、機密保持前提で転職者の経歴やスキルを一元的に管理して、判定してもらえるサービスができないものか。

 

こういう世界は現実的には、テクノロジーでは実現可能だが、それを働く人が受けて入れるかどうかであろう。

もちろん、転職者にとって会社を見れば同じことが言える。

お互いに良いところを見せる。化粧をする。それ自体がいけないという事ではなく、その結果、お互いに、不幸な採用になってはいけない。

 

何らかの形で採用のマッチングのIT活用は実現できるのではないかと思っている。

 

すでに第三者の推薦があたりまえのアメリカから大きな変革が起こりそうな予感がする。

私が知らないだけで、すでにそれに近いサービスは生まれているかもしれない。

 

言うなれば、働く人と会社のための信用照会のビックデータである。

業務経歴書など書く必要のない世界だ。

きっと、信用度は70%から80%の精度で落ち着くだろう。あとの決定要素は、採用する経営者の度量と心意気ではないだろうか。

 

 

 

以上