近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

若い頃の仕事力はどんなものかを考えてみる

働きだしてからそろそろ、40年になる。

正確には、22歳の時からなので、いまで38年目になったところだ。

私が就職した時はまだ、高度経済成長期の中にあった。今の様な社会全体の危機感を感じることはなかった。

もっとも、私自身がほぼ何も考えずに社会人になったので、その時の私のセンサーで、世の中の事を分かっていたと言えるかと言うと、自分のことながらはなはだ疑問だ。

大学を卒業したら、仕方がないから、働くという感じだったと思う。

 

現場監督を志向した私には青天のへきれきであるコンピューターの仕事。以来40年近く、ずっとこの分野に関わってきていることを時々思い返すが、人生とはあまりにも不思議なものだ。

 

私が新入社員の頃、石の上にも3年というのは常識だった。ここ最近は、新入社員が3年以内に辞める傾向も特段メディアの話題にもならないぐらい、当たり前化されつつある。そもそも、就職支援の商売が第二新卒を仲介することに、私があきれた時期もあった。なぜなら、新卒採用の商売をして広告費などで儲けておきながら、一方で第二新卒の転職を手伝う。

コストと労力をかけて採用している企業からしたら、いい加減にしろというところだ。今でも採用支援の会社がすることはあまり変わらないと私は思う。

私も、会社を創業してからは、社員を採用して育成して会社の業績向上に寄与できるようになるまでの苦労は嫌と言うほどわかる。一方で、とんでもない会社に間違って就職してしまった社員の不幸も分かる。

これを単なるマッチングの問題と、片づける傾向もあるが、もっと根本的なものであると思っている。

実際に、私が最初のゼネコンを退職するときに、その時の課長から、"4年弱で会社を辞めるという事は、恩をあだで返すようなもの。"とストレートに言われたことは、今でも脳裏に焼き付いている。もちろん、私は、何年考えても、そういうことをしたつもりはないので納得をした訳ではないが。

私の正当な言い訳で言うと、私は、ゼネコンで現場監督志望として明確な意思表示して就職した。それが、コンピューターを扱う仕事をしなさいと言われた。しかも、一時期ではなく、ずっと。

何度も課長にも掛け合った。仕事は変更できないと。そんな訳で、私が転職した理由は、それだけのことで、仕事が嫌だとか、会社が嫌だとかではない。

一方で、自分が会社を経営するようになり部下を採用して、雇用責任の下、私が元いた会社の課長の話を別の角度から反芻するようになった。

仮に、入社して1年目の社員が予想外に退職したらどう思うか?

鳴り物入りで採用した中途社員が半年で、役に立ちそうにないと判断したらどうするか?

会社経営をしていると、労務関係の苦労は絶えない。もちろん、当然のごとく当人にも正当に言い分はあるだろう。私の昔もそうだった。

 

会社によって、尺度は違う前提であえて単純化して書くと、どう考えても、最低でも3年間は会社がほぼ完全に社員を育成するのに関しては、投資になる。これは私も30年近く経営をしてきて、他者の社長と深く話してきて、随分前から確信に至っている。

 

 

中途であれば、プロ野球などでよく出で来るが、即戦力期待である。一方で、新卒は、プロ野球の世界で言えば、よっぽどの新人でない限り、二軍でじっくり体力づくりである。一般的な会社員も例外はあるとしても、平均的にはこれと一緒だ。私が創業した頃は、大企業の中には、30歳になるまでは、学びの期間。会社に貢献するのはそれを過ぎてからという会社もあった。もちろん、それは終身雇用制がまだ存在していた頃の話ではあるが。

 

私は、今の時代に転職をしてはいけないという訳ではない。私もしてきた。

ただ、自分の若い頃の仕事の力を勘違いしてはいけない。もちろん、アイデア力や行動力などでは、すぐに存在感は出せる。

しかし、本当の仕事はどこの世界でも甘くない。会社に属すにしても独立するにしても、若い頃の仕事に関しては、下積みの時期であると自覚したほうが、長い人生を快適に過ごせると考える。

 

 

以上