近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

一人で仕事する力はありますか?

日本人の特徴のひとつ、それはチームワークである。

新興国だけでなく欧米などの先進国においても、このことは多くの人に知れ渡っている。

 

経営やビジネスのやり方における日本の典型的な特徴でもあるが、ビジネス以外の分野でも同じように認知されている。

その代表的なものが、スポーツだ。野球は言うまでもなく、サッカーやラグビー。世界大会などで日本が好成績を挙げると、常にチームワークが話題になる。私はもちろん、これはこれで、日本人としては嬉しいことと捉えている。

 

ところが、チームワークの優れているところや利点の反対で、個人の力というものが弱い印象がある。

私が長年関わっているベトナムでは、こういう揶揄がある。ベトナム人、日本人が同じ国同士、3人が穴に落ちたとする。さて、どっちが上手に穴から脱出できるでしょう。という話だ。

 

この答えの落ちは、日本人は3人で協力して、穴から出られるが、ベトナム人は一人一人が独力で出ようとするので、なかなか出られない。こんな話である。

誰が言いだしたことかまでは検証しなかったが、20年ほど前、日本人の存在がまだほとんどなかった時の、ベトナム人の日本人に対する印象だったと思う。

もちろん、実際はこんな単純なものではないのは分かってはいたが、それでも両者の違いを簡単に理解するのには役立つ話だった。飲み会のネタにもなる。

ただ、背景は深く、これはベトナム人が日本人と比べて劣っていると言いたい話ではない。要するに個人の力は強いのだとの強調でもあったのである。言い方を変えれば、日本人は一人では大したことがない。というニュアンスである。

 

以降、長年ベトナム人と関わってきて、今では、随所に日本のチームワーク力と言うのが取り入れられつつあると実感している。

会社経営は言うまでもなく、子供の躾のシーンでも、日本的教育を望むお母さんが増えてきたと実感する。実際、そういう教育の普及を頼まれたりすることがある。正直、私以外に適任の方が沢山いると思ってはいるが・・・。

 

最近、日本の働く人に接していて感じることの一つが、この個人力の欠落である。

日本は、確かに、働く場において、徹底的にチームワークが必要とされる。

言い方を変えれば、組織への貢献はチームワーク無くして成り立たない。私もそう思っている。

 

だから、昔気質の職人さんやスーパーに仕事ができる営業の人など、なかなか、やりにくい時代になったとも言える。まして、IT活用が当たり前になってくると、属人的な仕事というのは、全体最適を阻害する原因にもなる。

 

これはこれで、経営者としての経営環境に適応するための最善の方法として、改革を進めるべき時代であるのは間違いないのだが、その反面、個人が組織やチームに依存する悪しき傾向が顕著になって来たと痛感する。

 

言い方を変えれば、自分一人で仕事を完結するスキルが欠落してきた。これをシンプルに書くと、大きく2つの要因がある。

 

一つは、分業化だ。チームワークというのは、分業して調和を取りつつ仕事の成果を最大化することである。もう一つが、指示する側や依頼する側により過ぎて、いざという時の現場対応力が削がれているということである。

純化して言うと、部下がいないとコピーすら取れないということだ。

まして、IT活用全盛時代、もし、部下がいなかったら提案書の一つも作れない。これでは仕事の種類や商売によるが、独力では仕事の成果を出せない人ということになる。

 

理想だけ言えば、冒頭のスポーツの話に立ち返ると、突出した個人でその時だけ好成績を残す、つまり、個人技の勝利を目指す方法も決してダメとは言えない。一方で、安定的に組織優先して、継続的に成果を出し続ける。これも捨てがたい。

 

私の理想は、今でも両方を追い求めることであるが、世の中を見ていて、個人の力で仕事ができない人が増えていることを結構、憂えている毎日である。

 

 

以上