近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

正当なクレームと理不尽なクレームの境目

日本がクレーム大国になったのはいつの頃だろうか?

私の感覚では、20数年前ぐらいからではなかろうかと思っている。

 

バブルも崩壊し、会社員の報酬も横ばいが続き、社会不安になるような材料が増える一方の日本。また、そういうことが相まってのストレス社会は世界の先進国の中でも異様だ。

 

クレームとは、日本語的な解釈をすると、相手に文句を言うこと。たいていの場合は、利害関係者の間に発生する。サービスや商品を提供する側と顧客ということになる。

一般的に、家族間で文句があってもそれはクレームとは言わない。

 

今であれば、国や行政に対してクレームのオンパレードだ。

コロナ禍で社会全体がナーバスになってピリピリしている。こんな時は、ちょっとしたことで腹が立ちやすいし、誰かが誰かにクレームを発信していると、それに乗じて、一緒にクレーマー化することも増えてきた。

特にネットやSNSがそれを助長する。

 

私も長年商売してきて、一番いやな事の一つが、お客さんからのクレームだ。

30年近くビジネスをしていると、正直、数えきれないクレームが沢山ある。

 

私の会社は基本的にBtoBが中心なので、商売の単位も大きい。契約単位が一億円を超えるものも少なくない。ベトナムでは小売りやレストランもしていると、今の日本とは違うが、日本の数十年前のような環境でのクレームの発生具合も体験できる。

 

そういう視点で見ると、明らかに、ベトナムの全体感は“安かろう悪かろう”の時代なので、顧客からの期待値がそんなに高くない分、クレームもかわいい。

 

一方、日本のように成熟して高品質、高サービスが当たり前の環境になると、顧客も企業側も終わりのない消耗戦をしているようにも思う。

 

最近は以前ほどは話題にならなくなったが、モンスタペアレントの暴挙がよくメディアに流れていた。自分の子供の躾を棚にあげて一方的に学校や先生に文句を言う。

こんな日本になって久しいが、この先日本人は、こういうクレームの矛先をどこに向けていくのだろうかととても気になる。

 

まず一つ思うに、社会全体の寛容さが失われていると思う。

クレームの原因は、品質が悪い、サービスが悪い、顧客からの問い合わせに対してのレスポンスが悪い、接客態度が悪い、納期が遅れた、約束と違う、頼んだものと違うものが届いた、食事がまずかった、買った商品がすぐ壊れた・・挙げだしたら幾らでも出てくる。

 

企業側は、こういう類の問題は、極力撲滅しようと頑張っていることばかりだ。特にエクセレントな会社は大中小問わず、相当な労力を割いている。一方で、いい加減な会社もある。

 

しかしながら、今のクレーマーというのは、概ね結果だけでしか判断しない短絡的な人が多くなっている。そもそも人間はミスをする動物である。当然、どんな会社もミスはしてしまう。

 

一つ大事なことは、クレームを受けたときに、どういう対処をするかという事で、その会社の価値や経営者の資質が問われる。こういう部分にもしっかりと理解を行き届かせてのクレームは健全と言える。

 

一方で、ただ単なる揚げ足取りや相手に完璧を求めるクレーマーのようなタイプは、分けて考えないといけない。

というのは簡単だが、実際これは難しい。

 

短絡的なクレームも本当に意味のあるクレームもSNSなどで発信されてしまうと、見分けがつかない。簡単に言うと、あまりにも、こういった類の情報が節操なく垂れ流されているので、そもそも、クレームの発信源やその発生した内容が分からないことが多すぎる。

 

私の考えは、実はシンプルで、面と向かってやりとりできないクレームは無視すればよいと思う。とはいっても、顧客の中にも何も言えないタイプの人も多いから、そういう人たちのためのクレームを見える化をするITのプラットフォームが必要だと思う。

 

 

以上