近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

分散はリスク対策の基本でこれからの生活の知恵でもある

1か所に何かを置いておくリスクは高い。

今のように、万人がデジタル機器を使う時代は、知らない間に集中するリスクが増している。

 

一般家庭で金庫がある家は、それほどないと思うが、企業であれば、たいていは金庫がある。そこには、実印や銀行の通帳、重要な契約書などが入っている。

だから、企業は特別に耐火性の金庫を用意する。 

 

もちろん、盗難リスクはあるのだが、知る人ぞ知る、会社で使う金庫は重い。軽く100㎏越えるのでそうそう持ち出せない。だから安心となる。

 

ところが、最近は、この印鑑すら電子に変わりつつある。金庫に通帳と印鑑を保管しなくてもネットバンキングでパソコンから比較的簡単に処理できる。もちろん、アクセス制限はそれなりにかかっている前提だが。

 

企業と個人は違うが、今は感覚的には似たような傾向だ。

今まだ、ベトナムなどの田舎などではタンス預金をしている人が多い。

日本でもかつてはそうだった。銀行に預けると言う行為が信用できないのだと思うし、いざという時のために、すぐに使える現金を手元においておきたいと思うのだろうか。

 

昔は、日本も泥棒はあまりいなかった。

だんだんと社会全体の安全・安心感が揺らいできて、今の日本ではタンス預金派は少ないと思う。もっとも、へそくりは少額だし、その行為そのものの楽しみはなくならないように思うが。

 

今の日本でも、これからのベトナムでも電子マネーや電子上での決済が当たり前になってくる。これは個人も企業も社会全体がそうだ。そうすると、昔の田舎のタンス預金をしていた人の安心感はどうやって実現すればよいのだろうかと思う。

 

お金の実態もなく、IDコードとパスワードのみが自分のよりどころになる。スマホでかざすだけで支払いが済むのは楽ちんだが、お金を使っている実感はない。

そもそも、現金残高と借入残高も混在する。

 

話は少し変わるが、今やどんな企業でもサーバーと呼ばれるコンピュータを使っている。少なくとも、最近は、このサーバーを専門業者に預けて使っているケースが増えてきた。さらには、サーバーという概念すらなくなって、そういう場所を使うというクラウドサービス全盛期だ。

 

例えば、行きつけの近所の美容室。ここには自分の個人情報は間違いなく登録されている。良い方向に使ってもらえれば、顧客としても満足は高まる。

 

一方、冷静にこのリスクを考えると、自分の情報が一体どういう風に、保管されているかは専門家でない限りは分からない。自前のサーバーなのか、GAFAMクラスが提供するクラウドサービスなのか?

これは一つ事例だが、重要な情報やデータはどこに保存されているかは分からない。

お金も自分の重要な情報も実はどこに保管されているかは分からない。

こういう時代に生きていると、リスク感度は緩んでくる。一方で、必要以上にリスクを感じて、不安が増長する。

 

こういう時の対処の方法として、とにかく、バックアップは自分で最低限は持っておく。それと、1か所だけに重要な情報などをおかない。つまり、リスクを分散できるように、被害を最小限にできるようなちょっとした工夫をしておくことに意味がある時代だと言えよう。

 

以上