近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ITは見える化に活用するのが何よりものメリット

再び、世間ではITブームがやってきた。

いちいち挙げだしたらきりがないが、この30年間で数回はこういう盛り上がりがある。

 

誰が仕掛けているのかと言えば、それはいわゆる業界である。

もちろん、過去の中には外圧的なものもあった。

そもそも、ITは米国の専売特許だ。シリコンバレーと聞けば、誰でもITの最先端企業が集積したイメージがある。

 

GAFAMは全てがシリコンバレーではないにしても、米国発である。20年近く前は、ブロードバンドで一時期先を越された韓国の影響もあった。私もこの流れで韓国にはちょくちょく訪問していた。

 

今だと当たり前だが、リアルなセミナー、つまり、会場セミナーをオンラインで配信する技術を持ったリアルセミナーというIT系ベンチャー合弁会社を創った。リアルセミナーブレインという社名だった。

 

今回のITブームのきっかけは、コロナ禍であるのは誰にも周知のことである。

 

もちろん、それ以前からもXTEC(クロステックまたはエックステック)、AI、ビックデータとIT業界は喧しかった。

 

しかし、コロナ禍で会社や医療関係など様々な分野でIT活用の必要に迫られた。きっかけは非接触だ対応だ。直接人が合わずに医者が診療する。介護にしても面会もオンライン化が進みつつある。

 

政府としても、電子立国化を20年近く前に標榜したものの、現実は他の先進国に大分差をつけられていた。特に、台湾やイスラエルなどのコロナ対策は、俊敏にITを活用して、一定の成果を収めた。

 

こういうことも相まって、日本は一気にITブームに再び突入することになった。

今回はこれをDXと称して、DX推進は魔法の杖とばかりに、国もITサービス会社も音頭をとる。一部には確かにDXという表現も的確かもしれないが、中小企業の世界やアナログの世界をひっくるめてのDX推進は強引すぎるし、大きな失敗を生み出すことは目に見えている。

 

私は、以前から安易なIT活用、過剰なIT投資などに警鐘を鳴らしてきたし、健全なビジネスを提唱してきた。

現場でも数多くお手伝いしてきた。そんなこの20年を過ごしている中で、再び、ITブームがやってきた訳である。

 

ITはツールである。

 

 

科学技術の最先端の成果の一つだと思うが、AIであろうがDXであろうが、所詮ツールであり概念に過ぎない。

だからこそ、せっかく人類が生み出した科学技術は健全に使いたい。そういう意味で、今回は大きな試金石だと考えている。

 

ツールだからこそ、企業の足元の業務改善や画期的な顧客サービスを生み出すことは当たり前だと思う。

 

オンライン診療にしても、日本のような既得権益や岩盤規制のなかでは、なかなか進まない。中国のような国があっという間に、オンライン診療当たり前のサービスが始まっている。こういう分野は、日本が一番遅れるのは必然だ。なぜならば、ITをたいして活用しなくても、素晴らしいサービス、高品質の商品を生み出してきた国が日本なのである。

 

ある意味、今更なのである。やはり、ITは何もないところから新しいものを作るのにはとても貢献しやすい。

ただ、ここで気をつけないといけないことがある。それは、規制もなければ法律もない世界では、ITは好きなようなことが出来てしまうということである。

 

例えばも、今は、GAFAMがここ数年やり玉に挙がって、寡占状態へのメスと情報セキュリティに対しての監視の目が強化されている。

 

今のところ、微妙なせめぎ合いを繰り返しているが、シンプルに考えると分かり易い。すべての問題の起点は、個人情報にある。様々な個人情報をあの手この手で取得しておいて、それをマーケティングの源泉データとして使ってよいのかということである。これは生活者個人個人の問題でもある。

 

どうも、最近、こちらばかりに目が行きがちになるが、私はサプライチェーン見える化にこそ、ITを徹底して使うべきだと思う。

 

今私が食べている、使っている商品の原材料は、どこでだれがどういう風に生み出したかを見える化するのである。最近は、人権問題に絡めた原材料の仕入れをやめる企業もチラホラでてきた。しかし、それは、氷山の一角に過ぎない。問題が発生してから、見える化していたのでは、いたちごっこから脱却できない。

 

今は、ITを投資するべき先は、人間の生活を便利に豊かにすることではなく、地球を健全化するための仕組み作りである。

その第一歩が見える化なのだ。こちらにIT投資を優先してこそ、日本が本当に世界に貢献できると考えている。

 

以上