近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

新興国に売りたい日本は日本に売りたい新興国が分かっているか?

新興国と日本、この両方の立場でビジネス活動をしてきた。

ゆうに20年は越えた。

果たしてビヨンドコロナで日本のビジネスは進化できるのだろうか?

この半年、ずっと私の頭の中心にあることである。

 

日本の国内マーケットは縮み続けている。シンプルに書けば、人口が減る国で内需でマーケット拡大はほぼ不可能だ。例外的にシンガポールのような国があるが、人口数百万である。日本のお手本にはならない。

 

日本は小さい国と言っても、世界人口ランキングで言えば今でもネットで調べると10位である。もちろん、2050年ぐらいの予想では、もっと下がっていくが。

 

マーケットが小さくなる国がすることとしては、海外マーケットの拡大ということなり、必然に発展が期待できる新興国に注目する。私が知る限り、少なくとも日本はこの動きが加速している。

 

アフリカなども含めると新興国と言っても様々だが、身近のアジアで考えると変化は簡単に理解できる。

40年ほど前、タイなどで生産拠点としての活用が始まった。今は誰もが知るが、とても魅力的なマーケットに変貌した。順繰りに生産拠点は中国に移り、ベトナムも注目されてきた。たいていのパターンは、先進国の都合の良い活用と表裏一体である。

 

生産拠点としてある程度発展が進んでくると、当然、所得が増えてきて購買力が上がってくる。日本の昔で言えば、高度経済成長期の入り口ぐらいの国は新興国には沢山ある。

 

私が長年付き合ってきたベトナムの人口はそろそろ一億人を超える。

日本の人口と逆転する時期はそう遠くない。

少なくとも富裕層も全体の10%は存在する。若者も給料も増えてくる。

こんな情報を知らない日本の経営者は今はいないだろう。

 

国としても、日本の商品や産品の売り先として、海外をターゲットにしている。もともとは欧米に目を向けていたが、この10年ぐらいで一気に新興国が視界に入ってきた。

 

だから、国や自治体の資金支援も手厚い。有名なところでは、農水省が海外輸出拡大のために、相当な資金を投入している。

こういう展開や政策を日本側から見るのと、新興国側から見るのでは随分違う。

 

例えば、新興国の富裕層から見たら、今は何でも買えるが、買うものがない状態であり、特に人気のある日本の商品や食材が手に入ることは、とても歓迎だろう。

 

一方で、大半の一般層は、日本のものには手が出せない。高すぎるからだ。

 

今、新興国の一般の人に必要なのは、自分たちが頑張って豊かになり所得を向上する。そして、家を買う、車も買うことである。たまに贅沢もする。そのためには、自国の経済の発展がとても重要になる。これはかつての日本と全く同じだ。

 

私は、ベトナムなどの経営者と仕事柄色々と付き合ってきた。一言でいうと、彼らは、ほぼ一様にどんな商品かに限らず、日本に売りたいと言う。

 

米や野菜、くだものなどの食料品から衣料、健康食品など。いままで頼まれたものを数えたらとても数えられる数ではない。

要は、商売に必死なのだ。先進国で豊かな日本は魅力的なマーケットなのである。

私達に売る前に、私たちのものを買ってよ。これが大半の本音である。

 

しかしながら、簡単に言うと、新興国のものを日本に売るのはてともハードルが高い。

その理由も明快だ。お菓子一つでも日本のお菓子のレベルは高い。ベトナムのお菓子は、日本の30、40年前のお菓子ぐらいだと思う。

だから、今でも日本のお菓子メーカーが新興国で製造販売すると成功する。

一方、これを日本に売ろうとするのは、なかなかハードルが高い。

 

日本の今は、国などが補助金を沢山投入して、無理してでも海外に売ろうとしている。

一方、新興国は国や自治体が後押しして、日本に売る仕組みやサポートは皆無だ。

 

商売は、そもそも、競争であるとは言え、これではあまりにも日本が勝ってすぎないか。

 

いずれ、新興国も力をつけてくる。それはどの国を見ていても明らかだ。

富裕層は日本のものをその時でも欲しがるかもしれないが、一方で、新興国にも魅力的な商品やサービスは沢山生まれてくる。

 

今、日本がすることは、売るだけのことに盲目的になるのではなく、それどれの新興国の発展に中長期的に寄与することである。

その方法は幾つかあるが、私が考えていることは何よりも人材育成である。

 

それと、新興国の起業家を応援する。資金の支援は言うまでもなく、新興国の発展のために、起業家を応援する。それが巡り巡って、いつかは日本と新興国の共生につながっていくと確信している。

 

以上