近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

新興国にとってのIT産業が有望な理由

新興国と日本のつながりが、日々、多方面で増大している。

背景には、ITが地球全体に浸透し始めていることがある。世界が急速につながっていくのを実感する日々である。

こんな時代に、新興国目線で視たIT産業の行く末は、とても興味深い。

当社は、1996年にアフリカのルワンダに現地拠点としてブレインワークスアフリカを設立した。現在、ITエンジニアを中心にIT関連業務に携わるスタッフが10名強活躍している。

 

もともと、ベトナムで20年以上に渡りIT関連のビジネスを行ってきた経験があり、その延長線上でルワンダでの活動を行うと同時に、これからの新興国発展途上国でのITの役割やIT産業の行く末を体感・思考してきた。

このような変化を日本の経営者にお伝えすることはとても意義深いことであると考える。

 

ITの特徴は、世界中で同レベルでの最先端テクノロジーや先進的なサービスに触れる機会が作れるということでもある。ゆえに新興国では未来有望な花形産業としてのITが存在している。

 

新興国のIT産業と言えば、インドの躍進は有名な話しである。1990年代から、インドは数学に強い人材が多いと言う素地を活かして、米国のアウトソーシング先として、IT産業が発展してきた。詳しいことは割愛するが、今やインドは世界を牽引するIT立国である。

 

アジアの中で視れば、中国がインドのかつての振興ぶりを彷彿とさせるような急成長を遂げた。

この20年の中国のIT産業の躍進ぶりも驚くことも多い。今やAIやDXに関わる分野でも、世界をリードするポジションである。まして、膨大なる人口を背景にした様々なIT活用のテスト環境の保有が圧倒的な強みの一つになっている。

 

この中国に遅れる事、約10数年。そろそろ、ベトナムもIT産業先進国の仲間入り間近である。

 

こういう視点で、IT立国を標榜するルワンダを起点にアフリカのIT産業の未来を考えると、日本国内のIT産業やIT活用の課題とは全く違う分野やテーマからの気づきとアプローチが見えてくる。

数年前のルワンダの社員の採用面接で印象的な事がある。私達は、決まって、自国でIT活用するとしたらどういうテーマですか?聞いた。

判を押したように、第一次産業、住宅、交通インフラ、貧困対策というテーマがあがる。

彼ら彼女らは、今の日本のような先進国と違い、課題だらけの生活環境の中で、かつ、先進国とのギャップもある程度、把握したうえで、世界が共通に使えるだろうITを活用した社会課題の解決を当たり前に考えている。

 

ここで、これからの新興国発展途上国のIT活用と、先進国のIT活用の違いを整理しておきたい。

シンプルに言えば、先進国は、相当なレベルで既に出来上がっている生活インフラやビジネスの仕組み、産業の基盤などにITを活用して、もっと、効率よく生産性を高めて、顧客獲得に活かす。こういう構図が現在の課題だ。

もちろん、環境問題や高齢社会の課題解決に寄与するIT活用も課題であるが、圧倒的に、いままでのものや仕組みをどう作り替えるかが最大の課題である。

一方、新興国などには、それがない。そもそも、作り替えないといけないほどの仕組みやサービスはないし、産業基盤も脆弱である。

だから、単純に、彼ら彼女らの生活体験や目の前で感じる問題や課題をITで解決できないかと考えることはごく自然なのである。

 

先進国のIT活用と新興国のIT活用の決定的な違いである。

新興国などの方が、これからの地球全体の課題解決の現場に近いということである。

そして、大事なことは、お互いが隔絶してきた時代から、ITそのものでつながる時代が進展しているということである。それは情報もそうだが、IT専門スキルをもった人たちも世界中でつながる時代が来ていると言う事でもある。

 

言い方を変えれば、世界中どこにいても、どこの国の仕事もできる時代であると言う事。

こんな時代だからこそ、日本国内のIT業務を海外でするということは今後も拡大するのは間違いないが、それ以上にITとういう仕事の世界を通して、新興国と先進国のギャップの解消が進むだろう。

サービスやビジネスの仕組み、生活を支えるIT基盤は、世界が自由自在につながって、共通化する方向が望ましい。

それが全体最適化への近道でもある。

単にITの専門職だった時代から、世界を変革する担い手として、新興国のIT専門家が活躍できる機会が劇的に大きくなっているといっても言い過ぎではないと思う。

 

以上