近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

会社を退職した社員と自然体でつながる意味

先日、数年前にわが社を退職して独立している男性元社員と食事した。

 

直接会うのは、2年ぶりぐらいだったと思うが、とても新鮮なひとときだった。

約10年前の新卒入社組であり、私は直接彼とは仕事でのかかわりが浅かったので、社員時代のことはあまり分からない。

 

 

だから彼が独立してからの方が付き合いが深くなる。相手によるが、生き方や価値観なども共有できていると思っている。

 

最近、独立した女性社員やすでに実家の実業で経営メンバーとして活躍している女性社員など、自然体でそれなりに、退職した社員との付き合いもビジネスも混ざりながら、続いている。

 

私は会社を創業した立場である。会社と社員の関係については、何か最適な解を持っているというよりは、会社を運営しながら時代の変化につれ、様々葛藤してきたし挑戦してきたつもりだ。

 

例えば、創業時は社長と言っても、社員を雇用し組織を運営するのには素人同然の初心者である。これは、子どもが出来て初めて親になった時には、親としてはまだゼロ歳であることと似ている。

 

創業者のほとんどの人が、雇用責任を負いながらも、その責任の果たし方については、未熟なままスタートする。

今更言い訳する歳でもないが、約30年前に創業してからのしばらくを振り返ると、組織の責任者として、雇用責任者としてあまりにも未熟だったと思う。

 

社長業と言うのは、なかなか奥が深い職業の一つだとは思う。人を雇用することが間違いなく一番重いことである。雇用責任という一言で十分に説明も可能な役割だが、一方で、一人一人の社員の人生に影響を及ぼす立場であること、結婚していればその当人だけでなくその家族にも影響することも多々ある。

 

また、社会的には雇用の維持発展の一翼を担うという役目もある。私は、働く人全員が独立すれば日本は劇的に変わるイメージは持っているが、現実的には、働く人の99%はどこかの会社に雇用される立場である。

 

会社員には大抵の人がなれるが、人を雇用する最終責任者になる人は確率から言っても数少ない。

だから、社員と社長との関係は、世間の常識から考えても、やはり大きなギャップのある関係である。

 

もちろん、会社の規模による差異は大きい。10人ぐらいの会社と1千人ぐらいの会社では、社長と社員の関係はかなり違う。前者は中小企業の中でも家族経営と言う部類に入る。とは言えやはり社員と社長のギャップは必ずある。

 

冒頭で紹介した彼もそうだが、元社員と退職後ある程度時間が経過してから交流すると、お互いの変化で面白い不思議な感覚になる。社員の時は見えなかったり、気づかなかったりしたことが分かる。そして当たり前だがお互いに成長もするし進化もする。

 

あらたな発見が実に沢山あるのである。

社会のこと、将来の目標、今気になっていること、価値観など。話することはこういう感じだ。たまに、在籍していた時の話も話題にはなるが、食事の胡椒のような感じだろうか。

 

考えてみれば当たり前のことで、会社の規模にもよるが、一般的に若手社員と社長がフランクに仕事以外のことで会話することはめったにない。

会社組織の役割を考えた時、仕事に直接関係がなければ、個人の想いとか社会に対する問題意識、環境問題などは、まず話題になることはない。

一方、社員でなくなると話の内容が全くフリーになる。

だから、新鮮なのである。

 

私は何をするかより誰とするかを指針に、ビジネスを行っている。

これを連呼しているとビジネスだけの考え方のように思われがちだが、私ぐらいの年齢になってくると、人生は誰と付き合うかが重要という考えが根底にある。

 

極端な話、元社員かそうでないかはあまり関係ない。不思議な感覚ではあるが、自分が創った会社がきっけで、人生のお付き合いが続く。こんな感じかとても快いと思える日々である。

 

会社には、経営理念があり行動指針があり、組織として達成することは明確である。だから、どうしても何らかで合理的で効率的な組織運営は行う必要がある。

仮に、私が、私の人生で付き合いたい人を集めた会社を指向したとして、成立するのか?間違いなく、そういう会社は存在できないだろう。

 

たまたま、30年近く経営を続けてきて、元社員とのかかわりや付き合いが、様々な気づきになることが増えてきた。

会社は人と人の出会いの単なる一つのきっかけに過ぎないという想いは日々高まっている。

 

以上