近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

計画性は必要だが、そもそも人間は無計画でもある

日本の場合は、子供の頃から計画性を持つことを教えられる。

始業に遅れないように教育を受ける。

保育園に行く頃からそうだ。

 

小学校に入れば、授業を中心に計画的にことが進む。運動会や遠足などの学校行事もかなり計画的だ。子供の頃は、自主的ではないが、親や学校の先生に計画的な活動すること、生活することを身に付けさせられる。これが日本の誇る躾の原点と言っても良い。

 

新興国などで活動していると、あらためて日本人のメンタリティも含めた社会の洗練された仕組みの存在を再認識する。

 

簡単に言えば、ベトナム人の赤ちゃんを日本で育てたとしたら、たいてい日本の環境や仕組みで学んだことが身につく。一方、日本人の赤ちゃんをベトナムの仕組みで育てたとしたら、今のベトナム人のようになると思う。

 

一般生活もそうだが、特にビジネスの世界では、今でもベトナム人は計画性がある活動が苦手である。これは、日本以外の新興国は一様にそうだ。 

アフリカで活動していても、アジアと全く同じように感じることも多い。

こういう風に書くと、日本人は相対的にとても計画性があるように思う。

 

ところが、やはり、日本人も人間。

無計画で大きな問題を沢山生み出してしまっている。

 

簡単に言えば、日本人の計画性というのは、目の前の事に対しては確かに優れているのではと感じることは多い。

例えば、建築工事。納期遵守の中、高品質のものを見事に仕上げる。レストランのオープンにしても、予定日にぴったり行う。

 

基本的にはプロジェクト管理のレベルでは、日本は世界のトップクラスだ。見方を変えれば、プロジェクトというのは、ゴールが決まっているので日本人も得意とするところだろう。

 

ところが、長期的なことになると、人間誰でも不得手であるが、日本人も計画性がないと言われる社会問題が沢山ある。

 

最たるもののひとつが、深刻な空き家問題。

家庭のゴミの後始末は、日本では当たり前の仕組みができた。マンションであれば、ゴミ捨て場にもっていけば、定期的にゴミ収集車が来て処分してくれる。

昔は、収集した後は、適当に廃棄していて大問題を生み出したが、今は流石に後処理までちゃんとしている。

 

しかし、これにしても、ゴミ処理を放置すれば、身近ですぐに大問題になるから、優先順位を高めて、解決してきた結果である。

 

空き家の再利用といえば、聞こえは良いが、今でも90%以上の空き家は放置されたままである。そもそも、全ての空き家を再利用できるかと言えば、人口が減る国では不可能だ。

一部の再利用ばかりに焦点を当てていては、結局は別の新たな問題を先送りするだけの事である。

 

要するに、20年後、30年後、もっと言えば50年先ぐらいまでは計画的に見通して、今の問題を解決しないといけない。

流石に、住宅であれば、耐用年数の短い家は今は売れないが、今でも問題を先送りして、今だけよかったらよいと言う商売が他にも沢山ある。

 

日本の無計画の最たるものが、高齢化問題であるが、これ以外でもこの数十年先送りしてきて、その時の経済発展を優先してきたことは枚挙にいとまがない。

また、先進国は自国の利益を優先して、新興国発展途上国にその負担や問題を押し付けている歴然とした事実もある。産業のゴミもしかりだ。

 

もちろん、かつての公害や農薬の問題を解決してきた課題解決先進国としての日本は、これから世界に貢献できる機会は沢山あると私は思ってもいる。

 

日本はそろそろ、個人的な習慣としての計画的な行動だけでなく、地球の未来をよくするために長期的なスパンでワンチームで計画的な行動をしていく国であり国民になりたいものだ。

 

以上