近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

仕事で“分かる”と“できる”の違いはどれぐらい大きいか

仕事の初心者の時は、大きく勘違いしやすいのが、“分かる”と“できる”との違いだ。

日本人でも働きだしたばかりの駆け出しの時は、分かったらできるよう思うものだ。

誰しも経験があるが、仕事は思った(分かった)ほどは簡単ではない。

35年近く働いてもこの感覚は変わらない。特に新しいことは常にハードルがある。

 

これが新興国となると、とても顕著になる。

20年以上前からベトナムで活動してきてこういう発見が沢山あった。

 

少なくとも仕事レベルにおいては、日本人の方が相対的に上であることに異論はない。しかし、呑み込みが早いと言うか、初めてする仕事でも、しっかり説明すると、理解はベトナム人の方が早いと思う事も多々あった。どん欲だし真剣なんだろうと思う。プライドも高い。

 

一方、日本人の今の若い世代は、同じように説明しても、なかなか、理解ができない。分かろうとしない。最近の若者の傾向だと思うが、自分が理解するのは当然として、納得しないと仕事に入らない。こんな特徴もあるようだ。

 

ベトナム人は、納得するかどうかよりも先に、プライドややる気が勝っているので、仕事の理解は早い。特に大学卒の新人などは、理論的な訓練を受けているので、余計だ。

 

ところが、いざ実践になると、極端な差が出る。

日本人とベトナム人の新入社員を比べるとよく分かる。日本人は、分かるまでに時間がかかるし、簡単には分かりました、任せてくださいとは言わない。もちろん、例外もあるが、日本人は総じて慎重である。

 

一方、ベトナム人は、分かるのはとても速い。多分理解もしている。しかし、実践となるとさっぱりなことが多い。特に品質について顕著だ。

納期に対してもベトナム人は緩い。もっとも、納期に関しては、日本以外の新興国は皆緩いと言っても過言ではない。

 

日本のような品質がハイレベルの国は、仮に働いたことがなくても、顧客としての立場で品質について目利きができる。

高校生のアルバイトでも、日本の一流の接客サービスの世界で鍛えられているので、品質水準は高い。極端な話、日本のアルバイト学生が、新興国のホテルで接客サービスをしても、トップクラスになる。

 

 

 

 

 

 

発展途上のベトナムで、社員教育したりビジネスしたりすると、日本人として学びが沢山ある。単純に日本人だから出来て、ベトナム人だからできないではなく、できないには理由がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

少なくとも、今のベトナムは日本に比べて顧客から求められる品質、サービス水準は低い。

ベトナム人の顧客としての体験では、日本の品質やサービスレベルが高いことは当たり前にわかっている。少なくとも噂では聞いている。

 

ベトナム人は高品質やハイレベルなサービスを実現するということを頭で理解するのは早い。ただ、それを実現するための日本人の見えない努力や取り組みは理解できない。

実体験がないし、ベトナム国内見渡してもまだまだ、お手本は少ない。

こんな理由で、“分かることはできること”と思い込んでしまう。

 

分かるとできるの違いは、1:10ぐらいありますよ。私は、長い間、ベナム人の教育の現場で教えてきた。あれから月日は流れ、ベトナムの品質もサービスレベルも少しずつ向上が見られる。そろそろ、分かることとできることの差を社会全体が分かってきたように思う。

 

 

 

 

話は飛躍するが、経営は理論よりも実践だ。という有名な言葉がある。

私も実際30年近く、実践の困難な状況や壁は数えきれない。その度にこの言葉を反芻しながら、実践は難しい。と自分に言い聞かせながら前進をしてきた。私は、“実践してなんぼ” の立場だ。

 

ベトナム人の実践力は発展途上。日本人は昔に比べたら、実践力が落ちてきている。

情報過多で耳年増になってきたこともあるだろうし、レジリエンスが弱くなってきたこともあるだろう。また、実践者より評論家や理屈先行の人が目立ちやすいという傾向もある。

 

ビジネスレベルで、ベトナムと日本の差はなくなりつつある今、両国ともに実践力を向上させるという共通の目標で、良い連携ができればと切に願うばかりである。

 

 

 

 

以上