近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ピンチはチャンスなりは本当か?

人生色々。仕事に限らないが、私もピンチに陥ったことは何度もある。

同じピンチでも、自業自得、墓穴を掘るといった自分の過去の言動が原因の事もあれば、青天のような大震災に見舞われたこともある。

 

また、会社経営で言えば、ITバブル崩壊、リーマンショックなどもど真ん中で体験した。

ビジネスで顧客からのクレームやトラブルもピンチの部類である。

実に、様々なピンチに遭遇しながら、何とか今がある。ピンチの時にどういう心構えで、どういう心理で、具体的にどうやってピンチを脱したかというのが、教訓となって、得難い経験として、積みあがってくると、ピンチに動じなくなる部分は確かにある。

 

ピンチと言えば、大人でも子供でも、世の中の人が口癖に使う言葉がある。

“ピンチはチャンスなり”である。

 

ピンチとチャンスは紙一重、という超ポジティブな捉え方をする人もいる。正直、私は、そこまでとは思っていないが、感覚的には、この大変なピンチを乗り越えたら、それを克服したという自信は間違いなくつくだろうし、そもそも、そのピンチを解決することができたとしたら、ボジティブに次にチャレンジができるという安心感への期待もある。

結果的には、ピンチを何とかして乗り越えることができたら、チャンスを掴む方に行動を集中できるので、“ピンチを脱したらチャンスが見えてくる”というニュアンスが私にはしっくりくる。

 

ただ、こういう言葉と言うのは、おまじないみたいなところがある。

例えば、“山より大きな獅子は出ない”、“神様は乗り越えられない試練は与えない”こういった類と似たような使い方と考えれば、世の中で、“ピンチはチャンスなり”が、ここまで一般的に使われていることに納得する。

 

リスクテイクすると言う言葉がある。

これはまた違った意味だが、反対の言葉で、石橋をたたき過ぎて割ってしまう。つまり、慎重になり過ぎて、石橋が壊れないかを何度も試しているうちに、石橋を壊してしまうという意味で、これで、石橋を渡ることができなくなる。

 

実は、新興国ビジネスの際に、日本人は現地の人から、石橋をたたき過ぎていると良く揶揄される。これが、リスクテイクできない日本人というあまりよろしくない評判になってしまっている訳である。

では、リスクテイクするためには、どういう心構えと行動が必要なのだろうか?

全くリスクがない、あるいは、リスクがあったとしても全く気付いていないとして、これをリスクテイクとは言わないだろう。やはり、ある程度の根拠をもって、リスクが想定されていても、やりたい事、チャレンジしたい事、新規ビジネスなど、失敗する確率がある程度見えていても、意志が強く、成功する確率が高ければ、リスクテイクできる。

 

100%失敗しない状態を確かめて行動していては、リターン(良い結果)は得られない。ゼロリスクハイリターンもないし、ゼロリスクローリターンもなかなかない。

今の新興国と昔の日本は、ハイリスクハイリターンが当たり前だった。

今の日本は経験を積み過ぎて、ローリスクローリターンしか狙えなくなっている。

 

こんな感覚では、ピンチはチャンスなりという意識も強くならない。やはりリスクテイクする強い意志があり、それでピンチになって、そこからチャンスを掴む。こんな循環が望ましいと思う。

 

以上