近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

転ばぬ先の杖とは言うけれど“言うは易く行うは難し”

“転ばぬ先の杖”、誰でも知っていることわざがある。

 

私も、リスクマネジメントを実行するときによく使う。単純で分かり易い。

だいたい、杖と言うとおじいちゃんの印象が強いが、転んでけがしないように杖を使いましょう。という意味合いだ。

 

こんなシンプルなことわざでも、なかなか奥が深い。

実際に、杖を持つとみっともないというおじいちゃんもいるだろうし、面倒くさいと言う人もいるだろう。そもそも、そんな備えがなくても自分は大丈夫という楽観主義で頑固者もいるだろう。

 

私も個人的には、こういうタイプだと人から言われることもある。せっかく周囲が心配してくれていても、かっこうつけて杖を使わない選択をしてしまいがちだ・・。常に反省はしているのだが。

 

今、日本も世界もコロナ禍のなかでの危機管理意識は高い。

目の前のことに対して、対策をする意識も高いし、実際街中でそうなっている。

しかし、すでに2年近くなってくると、危機管理意識を常に持ち続けることは困難だ。

人間だからどこかで気が緩む。

こんな時だからこそ、転ばぬ先の杖が大事だと思う。

 

危機管理の時は、ほとんどの人が緊張状態で、危機回避のために出来る限り慎重な対策をする。そういう意味では、転ばぬ先の杖ではなく、杖を持つのが当たり前の状態と言える。今であれば、マスクだろう。日本でほとんどの人がマスクをしている。

 

私も毎日マスクをしている。その結果、コロナ対策は言うまでもないが、他の健康上の不具合が皆無になったような気がする。風邪もひくことはもちろんあるが、軽くて済んでいる。

結果的に学ぶことであるが、マスクをすることが別の転ばぬ先の杖になっている実感がある。

 

今、目の前で発生している危機に対して対策することを危機管理として、これも含めて、将来起こりうる悪い出来事や良くないで出来事を回避することをリスクマネジメントと呼ぶ。

 

本来は、転ばぬ先の杖は、リスクマネジメントの一環として大切になる行動だ。

しかし、実際はなかなか実行するのは難しい。

 

一つには、リスクマネジメントが十分に効果を発揮したとすると、危機は回避できる。発生しても影響は軽微で済む。

そうすると、結果論で本当に転ばぬ先の杖は必要だったのですか?ということになる。

 

また、リスク対策にはコストがかかる。

どこまで、対策をしてよいかどうかの判断は費用対効果で測定できると分かり易いのだが、リスク対策の効果測定はとても難しい。

 

リスク対策に効果があり過ぎると、何も危機が発生しなくなる。専門家ならいざ知らず、一般的な目線で考えると何も起こらなかったのだから、対策は無駄だったのではという気持ちが蔓延する。

 

今のコロナ対策にしても、こういうことをメディアが助長しながら、繰り返している。今回のコロナ対策で、何が転ばぬ先の杖になったかは、数年先になってようやく分かることが多いと思う。

 

だから、今は、過剰でも対策するのが賢明だと思っている。マスクに手洗いぐらいでできることであれば、積極的にしましょう。というのが私の考えだ。

 

転ばぬ先の杖をネガティブに解釈することもできる。それは、心配しすぎは良くない、石橋をたたき過ぎて渡らない。

保守的になり過ぎるのもまた問題。

バランスのとれた転ばぬ先の杖を身に付けたいものである。