近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

人間はありがたみをすぐに忘れる

今や仕事でパソコンを使わない人は少ない。

社会全体のIT化がさらに進展してくると、人間がパソコンを使うのではなく、ロボットやRPA(ソフトウェアのロボット)が人間の代わりをするのが当たり前の時代も間近だ。

 

とはいえ、まだしばらくは、仕事ではパソコンが主役で、人間とパソコンの付き合いは当面続きそうである。

パソコンの性能は日進月歩であり、40年近く前に日本にもパソコンが登場して以来、劇的に進化し続けている。

 

いまでこそ使われなくなったが、IT業界で当たり前だったムーアの法則がある。この法則の通り本当にコンピュータの性能は、劇的に進化してきた。

私も、新入社員の頃からパソコンを使ってきたが、その頃のパソコンの性能がどうだったかは記憶にも残っていない。それぐらい、今と比べたら性能は低かった。

 

ただ、一つだけ言えることは、常にパソコンを使う際に人間が求めてきたことはより快適なスピードである。

 

何か仕事を始めようとしたときに、まずはパソコンの電源を入れる。このパソコンが起動する時間は誰しもとても気になる。これはパソコンとは限らない。どんな機器でも電源を入れたときに、起動する時間と言うのは気になるものである。

 

そして、起動した後、ワードやエクセルなどを使って仕事をするわけである。今どきであれば、画像処理なども当たり前になってきて、必然的にパソコンに負荷がかかる。

専門家でなくても、データ量が多いからとは察しがつく現象だ。いつになっても、パソコンを使用している時のスピード感は気になるものだ。

 

実は、私は、パソコンも長年使っているが、20代でプログラマーをしていた時は、汎用コンピューターの仕事をしていた。

メインフレームと呼ばれた巨大なコンピューターだ。今であれば、サーバーやクラウドの類だと理解すればそれほどズレはない。

 

当時は、コンピューターを使う仕事自体が特殊な時代だから、他に比べるものは無かった。だから、スピートが早いや遅いに関しては、少しは気になっていたが、優先事項ではなかった。

 

例えば、回線が込み合っている時に、キーボードを操作して次のレスポンスがあるまでに数分などはざらにあったし、ひどいときは30分待ちという時もあった。

こういうことが想定されていた時の仕事のやり方は、今から振り返るとレベルが高く、皆が段取り上手だったと思う。

 

その時代の誰しもが、コンピューターを使う際、レスポンス待ちという空き時間が生じていた。

その空き時間の有効活用で別の仕事をこなすのである。こうやってトータルではちゃんとやるべき仕事を納期通り仕上げる。

 

今であれば考えられない。今の人たちはひとたびパソコンに張り付くと、場合によって何時間もそれに集中する。集中すればするほど、スピードが気になる。そして人間はその性能に一度慣れてしまえば、更に良い性能を求めてしまう。

 

これは、なにもパソコンに限ったことではない。

eメールが世の中に登場して、画期的な仕事ツールであると分かると皆が飛びつき、それが10数年も経たないうちに、チャットが大普及。次から次へと手軽で簡単なコミュニケーション手段を求める。

 

私は時々思い返すようにしている。

こんなに狭い日本、そんなに急いでどこ行くの。

こんなフレーズのCMがあった。

 

これと同じで、仕事でスピードや手軽さばかり求めても行きつくところは終わりのない消耗戦である。ワーケーションの時代に相応しいITツールの使い方。

それは、不便だった昔に比べて便利さを味わいながら仕事をするゆったりする時間を創ることが何よりも大切だと思う。

 

以上