近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

予約限定販売がもっと普及すれば世の中は変わる

食品ロスの問題が日本でも話題になって久しい。

 

例えば、恵方巻の売れ残りに関するメディアの報道は、衝撃的だ。

私のように、農村で生まれ育ったものからすると、食べ残しは習慣としてもあまり受け入れられない。子供の頃、食べ物を残すことに関しては、とても叱られたからだ。米粒一つ大事にするという感覚を仕込まれたと思う。

そんな訳で、いまでも食べ残しには抵抗がある。

 

正直、全く、残さないとは言えないので、自信を持って食品ロスの改善に寄与する行動をしているとは言えないが。

 

食品に限らないが、日本のような先進国では、おおむね、供給過多である。

農産物に関しては、ニュースでよく見かけるが、豊作になると値段が下がる。

これはこれで、消費する側の生活者にとってはありがたいことなのだが、生産者にとっては大変なことだ。

 

 

私は子供の頃、実家で大根を生産していたので、いつも大根のことが頭に浮かぶ。

例えばある冬は豊作で、大根が例年の3倍収穫できた。仮に便宜的に、10本が平年の収穫として1本が500円で出荷していたとする。豊作になって、30本出荷できたが、1本が200円になった。

生産者の農家としては、どちらが得かである。

少しでも収入が多い6万円をありがたいと言う人もいるかもしれないが、平均的には、5万円の収入を選ぶだろう。労働のコストや手間を考えたら、あまり選択の余地はない。

 

そうすると、出荷量をコントロールしようという話になり、実際、様々な工夫で農家は出荷調整もする。しかしながら、自然が相手だけになかなか生産量のコントロールは難しい。

 

本来は、市場が必要としているだけの供給が計画的にできて、出荷量と価格が安定する方が、生産者としても農業を効率よく安定的に営むことが出来る。

漁業もそうだが、自然が相手の産業は、需要と供給のバランスをとるのはとても難しい。

 

では、コンビニで売られている弁当はどうだろうか?私も時々、弁当を買うが、行く時間帯にもよるが、陳列棚に残っている弁当はまちまだ。

 

余計な心配だが、夜遅くなって、弁当がたくさん残っていると、この弁当もったいないなと思う。

もちろん、全て廃棄するわけではないにしても、品ぞろえを優先して、POSでしっかり管理していても食品ロスは発生する。

 

話は変わるが、スーパーで夜の19.00ぐらいになると、値引きシールが一斉に貼られる。人間とは不思議なもので、やはり、安い方を買いたい。だから、私も、好んで値引きシールがついたものを買う。売れ残りを防ぐ工夫のひとつとして、日本全国に定着している。

 

年末になると、お節料理を予約購入する人はどれぐらいいるのだろうか?

私も昨年、ビジネスパートナーの土井敏久さんプロデュースの手づくりお節料理を頼んだ。

絶品の料理に感動したが、この予約限定販売こそ、食品ロスを極力なくすための秘策になるのではないかと思う。

 

この予約限定販売と言うのは、結構、手間がかかりそうな印象がある。

だがそれは、一昔のことである。今や、支払いはスマホで様々な方法で簡単に済ますことが出来る。自動販売機でジュースを買うのもスマホ決済でできる。

 

ITのしくみを上手に使えば、小売店の予約販売はできる。

もちろん、売る側も買う側も店で実際の商品を見ながら、ついで買い、衝動買いというのも生活の醍醐味の一つかもしれない。しかしながら、この部分にフォーカスが行き過ぎている現代、どうしても、余計なものをちん列して、購買欲をそそる方に流れる。

 

予約限定販売であれば、必要な量を供給すれば、その日の商売は終わり。一見、商売チャンスが減るように思うが、生産・販売する側は計画的に適正量の生産ができるようになるし、食品ロスはかなりの部分で改善できると思う。

 

農家の事例を冒頭で書いたが、農業はこれは特別難しいので、供給量が増えても極端に価格が下がらない工夫が必要で、このあたりは別の機会に書きたいと思う。

 

 

以上