近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

もし新興国の人が自分の上司だったら・・・

もう15年以上前になるが、近い将来、自分の会社の上司が、アジアの人だったら?

と、セミナーや執筆の機会に問いかけた。

加えて、自社の新卒採用の説明会でも、結構話していた。

 

昔からそうだが、いわゆる外資系の企業(概ね先進国)で働くと、上司は外国人というは当たり前だった。ある意味、日本国内でも外資系の企業で働くことは結構なステイタスだった時代もある。

特に金融系などはそうだ。

今ならIT系も外資系は多い。欧米などの先進国と日本の関係で見たら、戦後復興の中、先進国に追いつけ追い越せで、日本は頑張って来た。

 

ここ20年は、アジアの国が日本に追いつけ追い越せになって来た。

例えば、ベトナムに進出している日本の企業には、沢山のベトナム人が働いている。彼ら彼女らからしたら、日本は外資系の企業だ。

 

一方で、ベトナムの企業も、日本人を欲している。だから、日本では第一線をリタイアしたような60代後半、70代の人は、経営幹部として重宝される。日本の高度経済成長期を経験した人の付加価値は高い。

 

私が、自分の会社の上司がアジアの人だったら・・で、言いたかったことの一つに、日本が成長著しい新興国と伍していくには、日本の大学を卒業した若者が、ベトナムにあるベトナム企業に、ダイレクトに就職しても不思議ではないという意味だ。

あの頃から、10年以上が過ぎ、IT系を中心に、ベトナム企業も日本国内に現地法人を構えるところが増えてきた。それだけ、日本のマーケットに魅力があることは言うまでもないが、ベトナム企業が、かつての先進国の欧米のように、日本に進出して勝負できる時代が来ているとも言える。

 

当然、そういう企業では、日本人が働く。すでに、日本人の上司がアジアの人の時代は来ているのである。

私は、もともと、日本の若い人には、できるだけ早いときに、新興国体験をしてほしいと思っている。

もちろん、ベトナムなどの新興国にある日系企業での体験も貴重だが、それ以上に、ベトナムの企業で働くことに意味があると思う。

そして、さらに言うと、ベトナム企業の報酬体系の中で、ベトナム人と同じ土俵で勝負する。

日本国内での生活感覚と水準では不可能だが、ベトナム社会に溶け込めば、十分に可能だ。

私が15年以上前に、考えていた事は概ねこんなイメージだった。

 

あれから月日は流れ、多くの若者がベトナムで活躍するようになった。ベトナム企業で働く若者も少なからずいる。

タフな環境でもまれながら、新興国目線で仕事を覚え、社会の変化を感じる。こういう体験は、近い将来の日本にとっても、とても貴重な人材になることは間違いない。

 

これからは、新興国の人は、日本で日本人と同じ環境、待遇で働く。日本人は新興国で、その国の環境と待遇で働く。

こんなことが当たり前になった時、日本は新たに輝く時代がくるのだと思っている。

 

以上