近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

起業も創業も色々なのに・・・

起業も創業も、私がずっと関わって、気にしてきたキーワードだ。

私は結果的に31歳で起業したし、そもそも創業という活動が好きだ。

 

今、世間でも起業を推奨するブームを感じる。

この30年間で考えても、起業が流行った時期が何度かあった。私が起業して間もなくして、第三次ベンチャーブームであることに気づいた。そして、その勢いに巻き込まれた。

その時からすでに起業を支援する活動は色々とあったが、日本としては、欧米並みに起業家を増やしたいという願望は今も変わっていない。いや、むしろ、もっと、起業家を増やさないといけないということで、今や国の課題とも言える。

 

そして、数年前から、スタートアップという起業の形が喧伝されだした。こういう言葉と言うのは、IT業界にあるバズワードと似たような性質があって、本当の意味はどこかに行ってしまい、目新しさを利用したい人達が、都合よく勝手な解釈で使う。

 

スタートアップは、本来は短期間に社会変革を起こすぐらいの成長を遂げる起業のことだったはずが、結局は、昔からあるベンチャー企業も包含して、何でもかんでもスタートアップとあちらこちらで使うようになった。

だから、様々な誤解を生んでいる。

 

また、起業には女性活躍推進や高齢化社会の進展を受けて、お一人起業も増えている。

私は、もともと、働く人全員が個人事業主となる社会を推奨しているので、お一人起業が増えことは大賛成だ。組織に属することも意味はあるが、企業が世の中の変革をリードする時代は終わりに近づきつつある。

そういう意味でも、一人ずつが自律する方が社会変革につながりやすい。

そして、それぞれがつながるとなお良い。

 

こんな変化の中での起業も、もっと多様化すると私は考えている。だから、猫も杓子もスタートアップと呼ぶブームには警鐘を鳴らしたい。何も、スケールアップすることだけが、起業ではない。

起業と創業はセットで使われることが多いが、私の場合、創業とはやはり、事業創造という意識が強い。

こう考えると、起業家が皆、事業創造するわけではない。一人ずつの考え方とタイプによって大きく違う。

起業しても必ずしも事業創造する必要はない。特にお一人起業であれば、まずは自立することが大事で、仕事の内容は、世の中に溢れていても良い。また、会社を成長させる過程で、必ずしも新規事業でないといけないという理屈はない。

 

例えば、自分の住んでいる街で、和食店をオープンする。流石に、これは起業ではあるが、事業創造ではない。

あと、私が日頃、様々なタイプの経営者とお会いしている中で想う事がある。

それは、事業創造は必ずしも起業家の専売特許ではない。特に、創業者の二世三世の中には、創業社長を凌駕するぐらい起業家精神にあふれて、創造的破壊や新規ビジネスに果敢にチャレンジしている方もいる。

また、番頭や参謀的な役割の人で、起業家精神にあふれる人もいる。こういう体験を積んでいると、起業家=起業家精神に溢れている人ではないと分かる。

 

今までの話を整理すると、これらの世の中も、必ずしも新規事業ばかりが必要な訳ではない。既存事業の延長であったり、改良を加えていく方が圧倒的に多い。

そして、その10%か20%ぐらいが変革を伴う新規事業ということになるだろう。こういうことを担うのは、起業家だけとは限らない。起業家精神にあふれた人が、立場に寄らず、新規事業を創造する。こんな感じで、私は起業と創業を考えている。

 

                   以上