近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ペーパレス化の進展によるチェック力の低下

今、仕事の現場のあちらこちらで、ペーパレス化が進んでいる。

ITが世の中に浸透しだした20年以上前から、ペーパレス化は仕事の現場の常なる課題だ。

今は過渡期だから余計に不便を感じることは多い。簡単に言えば、完全にペーパレスにしないと、紙からデジタルデータへの入力作業が発生する。

 

今、民間でも行政でも、紙とデジタルの混在した状態が沢山ある。最近は、今年10月から国内で導入されるインボイスが話題だが、請求書関係がデジタルデータ化すると、様々なことが、効率化されるし、会社の経理なども格段に進化する。

 

そして、企業にとっては義務である、確定申告についても、効率化が進むのと、透明性、正確性が高まる。特に、企業活動においては、全ての企業の請求関係がデジタル化されると、今までの業務が必要なくなることも多い。

他にも、デジタル化すれば、貢献度が高いものは数多くある。

例えば、電化製品などの取扱説明書、一部は、Web化されているところもあるが、まだまだ、紙ベースである。紙だと持ち歩くことも中々できない。無くならないために、コピーをとるなどが必要になる。

ペーパレス化が進むことは社会全体で見たら、歓迎することは多いが、私は、仕事をする中で、ペーパレス化の弊害も沢山体験している。

 

今回は、その一つである、チェックする仕事について書きたいと思う。

品質を維持するための仕事は幾つかある。

そのもっとも重要な工程の一つは、検査である。

 

仕様書に基づいて、出来上がった製品やものをチェックする。この精度によって、成果物の品質は決まる。これは、建築でも車でも同じである。この検査とは意味合いが違うが、どんな仕事にもチェックという大事な工程がある。

あの有名なPDCAも、結局はCのチェックが実行されないと、PDCAは形骸化する。

私は、PDCAは、大中小問わず、尻切れトンボになっている実態を多くみてきたが、このようなとこからの処方箋は、とにかく、Cのチェックからやり直すことが重要だと企業支援の現場で説いてきた。

では、このチェックはどういう風にするかであるが、仕事の種類や内容によって様々であるが、その基本は、目視チェック、第三者チェック、レビューのMTGなどである。

ペーパレス化が進むと言う事は、極端な話し、AIなどによって、チェック機能を強化できるという可能性はある。

ただ、一方で、いつまで経っても人間が目視であったり、第三者チェックであったりすることも、不可欠であり、そうなると、その作業を紙でするのか、パソコン上のデジタルでするのかということになる。

私は、こういう作業は、ほぼ100%紙でする。つまり、デジタルデータを印刷して、紙にする。それを赤ペンなどで、修正点を書き込む。

今のところ、これ以上の効率の良いやり方は見つからない。

この20年、色々と試してみたことはある。例えば、IPADにPDFデータを表示されて、それにタッチペンで赤書きする。これはどうしても、そういう方法しか取れない時、急いでいる時、数が少ない時はなんとかなるが、例えば、最終納品の書籍の原稿などをチェックするのは、紙の原稿に赤入れする。この方法に勝るものはない。

 

もちろん、紙は、森林資源の無駄遣いということがある。環境問題とも直結する。だが、ペーパレスだけに注目しても仕方がない。まったく紙のない生活をするのは人間にとって不可能である。このあたりの問題は、最終的には地球規模の全体最適でどうするかということに行きつく。

 

 

以上