近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

自分の失敗からしか学べない人間?

人の振り見て我が振り直せ。

子供の頃から、教わってきた言葉である。

子供の頃は、そういうもんなんだと思っていた事でも、大人になって、改めて考えてみたら、これほど難しいことはないと思う事が幾つかある。

その一つが、冒頭の言い回しだ。


オンラインのコトバンクには、こうある。

他人のふるまいを見て感じることがあったら、わが身を振り返り、改めるべきところを改めよ。他人の行いを批判する前に、まず自分のことを省みよ。

 

言い方を変えれば、反面教師としましょうという意味である。

お手本と反面教師。

人が成長するには、どちらも大切だと思うが、反面教師と言うのは、基本的には悪い事例で、私も仕事の世界でもよく使う。

 

例えば、ベトナムなどの新興国でビジネスしていると、日本をお手本にしたいという声は良く聞く。一つには、戦後復興の過程で、高度経済成長を遂げた日本をお手本に、経済成長しよう、豊かな国にしょう。

こんな日本への尊敬と期待感はヒシヒシと伝わる。日本人としては、嬉しいし自信の持てる事である。

一方で、今どきは、ストレス社会や高齢社会などの日本の大きな課題も、情報が伝わる時代。ああはなりたくない。日本のような道を歩んではいけない。こんな考えの人も新興国にも少なからずいる。

日本はかつて、公害問題や環境問題でとても深刻な状態にあった。社会問題化した訴訟も沢山あった。実際にヘドロの東京湾や工業地帯の光化学スモッグなど、今の日本からしたら考えられないことが沢山あった。

今、新興国は、同じような道を進んでいる。日本や他の先進国の先例があって、失敗をして、改善するのに膨大なコストと労力かをかけてきたことを知っていても、今の新興国は、目の前の事だけに走る。

かつての日本や先進国がそうであったようにだ。

 

そんな中、世界中でSDGsブームになりつつある。新興国発展途上国からしたら、先進国を反面教師としたいところだが、それが困難な道であるのは明白で、結局は、どうして先進国が昔、好き勝手なことをしていて、今、その反省に一緒に付き合わないといけないのか?

こんな気分になっても不思議ではない。

国同士でもこういう感覚に陥るのが人間である。

 

私達個人個人で考えた場合、人のふり見て我が振り直せは、そうそう簡単な事ではない。

失敗しない人間はいない。多分、動物も失敗する。人間も動物もきっと、失敗から学ぶようには本能的にできていると思う。だから、長年、存続してきたのだと思う。

 

人間は、自分の失敗からしか学べないのではと思う事が最近増えてきた。

例えば、健康の問題。確かに、同世代で身近な人が病気になると、自分事として感じやすい。だからと言って、急に、健康についてケアを始めるかと言うと、なかなかできない。

もちろん、家族や周囲の人に促されて、健康診断をしたり、健康維持の対策をしたりすることはある。しかし、やっぱり、自分が病気になるとか、健康診断で問題が出たとか、こういう時に初めて、健康に対して真剣に向き合う。

 

人のふり見て我が振りを直したくても、自分事でない限りは、なかなか、本気にはなれない。

 

だから、人間は、いつまでたっても同じような失敗を繰り返しているのではないかと思う。

過去の教訓というのは、それほど活かされていないのが人間の本質ではないだろうか。

 

以上