近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

連想発想力を鍛える

私が子供の頃、NHKで連想ゲームという長寿番組があった。

ワクワクしながら一緒に答えを考えて楽しんでいた記憶がある。幾つかのヒントを聞きながら回答者がお題を当てるゲームだ。

例えば、ベトナム、進出支援、中小企業、ITが得意。答えはブレインワークス。

 

私がここずっと、仕事する上で一番重要視しているスキルの一つが、連想発想力だ。

この連想発想力は実に奥が深く応用範囲も広い。幾つか事例を挙げて説明する。

 

一を聞いて10を知る。

とても有名な言い回しだ。仕事でもこれができる人が重宝される。

例えば、上司が部下に指示する。数か月前の仕事と似たような内容だった時に、一から全てもう一度説明しないといけないのでは、とても骨が折れる。できれば、半年前のあの仕事、ポイントはここ。こんな風に指示できるのが理想だ。だから、こういう部下はとても優秀となる。相手の言わんとすることを察する能力にも近い。

 

私は博物館に行くのが好きだ。特に、大昔を再現したものを観るのが好きだ。

みなさんは見事なデザインが施された大きな縄文土器を見たことがあるだろうか。あるいは、恐竜博物館などで恐竜の復元像などはどうだろう。いずれにしても、ご存じの通り、それらはそのままの形で土の中から発掘されたわけではない。土器の場合なら、ひとかけらから、恐竜の場合なら一片の骨から専門家たちが知恵と知識と想像力で復元したものだと思う。長年の努力の結晶だと思うが、こういう仕事に関わる創造力というか能力には本当に驚き感心する。

 

普段、情報を扱う時にも、この「一部から連想して全体を思い浮かべる」能力がとても重要になってくる。全部を触らなくても、足の先や指だけで「この人はこういう人じゃないか」と想像する。まるっきりヤマ勘などではなくて、これまでに培われた知識と経験をもとに連想発想によって、なるべく真実に近づけるように真剣に全体像を見つけようとする。それができるかどうかも、情報感度を語るうえでとても大事なポイントとなる。

 

「この人の持ってきたこの情報は、こういうことにつながっているのじゃないか」

「このニュースは、あの情報がルーツじゃないか」

 

部分の情報から関連することや全体を見極めることができる尺度を自分の中に持っていたい。

 

最近では、新型コロナウィルスに関する政府の発表がまさに「部分」だ。Twitter上では「政府は細切れの情報しか出さない」という不平不満が渦巻いている。当然、私ももっと詳細な情報を出すべきだとは思っている。だが、文句だけを言っていてもしようがない。

現時点で手に入った「部分」情報から連想発想によって少しでも全体像をつかみたいといつも考えながら情報と向き合っている。

 

 連想発想するために必要なのが、いわゆる常識と言われる一般的な基礎知識と実体験に基づく確固たる根拠だ。それと柔軟な発想力だ。思い込まないための思考回路とも言える。これがないと、情報のかけらを大きく組み立てていくことはできない。骨のかけらから恐竜の復元ができるのは、専門家たちが恐竜に関する知識や知見を豊富に持っているだけでなく、柔軟な発想力と構想力だと推察する。

 

最後にもう一つ、連想発想の事例を付け加えておく。

イデアを思いつくと、人間は誰しも自分だけが発想したと思いたい。実際、そういうことは起こらなくもないが、私は、世の中には似たようなことを考えつく人は必ず同時期に何人もいると思っている。

創業したての頃は、自分が何かビジネスをアイデア思いついたら、日本に100人はいると思うようにしていた。あとは実行して勝負はするかしないかだと。だから、アイデアだけを売りにしている人には関心がない。自分だけが凄い、斬新と思う心が、連想発想を阻害する。

実はこれは、トラブルを発見する時も同じである。一つのミスを見つけたら、似たようなことが幾つも内在していると発想することも、リスク察知力につながる連想発想力である。

 

 

以上