近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ピンピンコロリをどう考えるか?

ピンピンコロリ。

ひところ、流行言葉になっていた感がある。

日本の高齢化社会を考える時に、どうしても外すことが出来ないのが、健康寿命という考え方だ。

 

日本は、多くの人が知っているように、世界の中でもトップクラスの長寿国である。一方、健康寿命は、驚くほど短い。男女ともに、寝たきりの期間が10年前後ととても長い。女性よりも男性の方が少し長い。平均はあくまで平均だが、それでも男子の健康寿命(2016年、厚生労働省)は72歳強である。私にあてはめると、あと10年あるかどうかである。

 

今、世間は人生100年時代に向けて盛り上がっている。

これはこれで、明るい話と捉えれば、皆に関係する話であるが、実際は、男女ともに寝たきりになったり、健康上の問題を抱えたまま長生きするという現実が、日本の高齢化社会に暗い影を落とす。そういう背景の中、多くの人が望むことが、ピンピンコロリである。

 

一般的には、老衰で寿命を迎えることが出来れば、とても自然体だと思うが、なぜかピンピンコロリを本気で目指している人が私の周りでも多い。

 

推察するに、寝たきりになって自分も不自由な思いをしたくないし、家族などの周りにも迷惑をかけたくない。男性の感覚で言えば、仮に突然の病気になるぐらいなら、その場限りで寿命を終えたいと願う気持ちである。

 

ただ、統計上は、こういう理想通りになる人は、想像以上に少ない。確か数%以下である。

だから、実現する確率は低いわけである。

 

この先もそれほど変わらないだろう。現実との乖離があり過ぎて、本気でピンピンコロリを目指すこと時代がリスクであると私は考える。

願望は願望として、それこそ、周囲に迷惑をかけないために、今から自分事として準備しないといけない。また、自分が寝たきりになる、あるいは重度の障害を抱えて、日常生活に支障をきたす、こういう事が起った時にどうするかの心の準備と、そうなった時の生活面での対応なども準備しておくのが自然だ。

備えあれば憂いなしなのである。

 

改めてピンピンコロリを望む人がなぜ多いかを考えてみる。

一つは、病院に長い間入院したくないということが大きいと思う。これが、在宅での医療ができれば、随分気持ちが安らぐと思う。実際、欧米などでは、在宅医療が主流だ。日本でも最近は、一定の条件が揃えば終末期の在宅医療も実現は可能である。しかし、ここには貧富の差が強烈に影響する。誰でも彼でもが、望み通りにはできない現実がある。

 

もう一つの根底の考え方として、長生きをどういうスタイル、状態でしたいかである。

最後まで、健康で意識もしっかりして、人生を堪能したい。ではそれがかなわぬことになった時に、生きる価値はないのであろうか?

ただ単純に寝たきりになると知れば、毎日が辛いものになるように思う。

 

今は、病室であってもDX時代で、色々と楽しみも叶うことが出来るかもしれない時代である。

今流行りのメタバースが実用的になった時には、寝たきりだけど世界旅行ができる、昔懐かしい場所で過ごすことが出来る。単純に延命ではなく、寝たきりでもQOLを少しでも高めることが出来る可能性がある時代に期待したいものだ。

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以上