近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

私と農業の関りとこれからの役割

 

最近、農業に関心がある人が増えてきた実感がある。

もちろん、それは、私が自社で農業ビジネスに関する活動をしていることもあるが、これ以上に、世の中が変化してきたと思う。 

 

ここ数年の健康生活ブームの中で、食に関心を持つ人が明らかに増えてきていた。そういう人たちが共通して気にしているのが、果たして普段食している野菜や果物は安心安全なのかということ。

 

農薬が必ずしもいけないということではないにしても、やはり、自然の中で純粋に育った野菜の方が明らかに、健康に良いと考えるのが自然だ。

 

また、生産者の顔が見える機会も多くなってきた。それは、産地直送販売というビジネスの形が定着して、生産者の顔が見えるようになってきたこと。さらには、生産者の農家の人たちがネットやSNSを使って自ら情報発信したり表現したりするような機会が一気に増えたこと。  

 

こういうことが相まって、消費する生活者としても自分が責任をもって食材を選びやすくなってきた。それと同時に、生産に従事する方々の苦労や想いなどを共有することによって、生産者や農業と言う仕事へのファンも増えてきた。

 

そこに、コロナ禍で健康に対する意識がとんがっていることと、自然回帰が相まって、地方に目を向ける人も多くなっている。

様々な事が重なっている中で、私は、農業が大きく変わる転換期に来ていると思う。

 

私は、農家で生まれて18歳まで専業農家の次男坊として育った。

会社経営を始めて以降、年々確信していることがあるが、私のビジネスや活動の原体験は農業であることを再認識する日々の連続だ。

 

特に、ベトナムやアフルカのルワンダなどの新興国でビジネスをしている関係で、第一次産業の重要さをひしひしと感じてきた。

 

日本のように、経済成長優先で、農業の優先順位を下げていたつけが今にして重くのしかかっている国としては、反省するばかりだと思う。

私のこれからの目標は、今の日本の農業ではなくて、過去の反省を踏まえて大きく変革した日本の農業の仕組みを、新興国に伝えることでもある。

 

農業ビジネスをアグリビジネスと表現するだけで、なにやら今風の有望ビジネスに見えてしまう。

 

そこにITやIOTを絡ませたスマートアグリと表現すると最先端農業と言う印象が出来上がってしまう。もちろん、こういう表現が功を奏して、農業ビジネスに新規参入する人達や企業が増えることは大切だ。

 

ただ、こういう側面だけでは、農業の本質的な発展はおぼつかない。私が2009年に上梓した“アジアで農業ビジネスチャンスを掴め”でも少し書いたが、日本の農業は、その生産物を消費する生活者や企業の考えが変わることが一番大切である。

 

農業はいくら大規模化するにしても、日本には限界がある。北海道などはそういうことの適地だが、日本は多様で、小規模の農地が多く、山間の段々畑も沢山ある。

 

こういう自然の環境を活かした農業を維持発展することも食の問題だけでなく、自然環境の保全と言う観点や防災の面でもとても重要である。そうなってくると、ビジネスの世界だけでは到底、日本の農業をバランスよく発展させることはできない。

 

私はまず、日本の生活者が生産と消費を一体で考えて、必ずしも自分も生産するということではなくても良いと考える。生産の現場を知る、最低でも体験する。そういうことを通して、今流行りの食育などとも連携しながら、生活者の意識を変えていく。

 

例え、形が悪かろうが見た目がどうであろうが、健康で安心安全野菜は幾らでも創れる。

コストが高くなったとしても、それに見合うメリットは沢山ある訳で、そういうことの学びが土台として出来上がってきて初めて、日本の農業は進化すると私は考えている。

 

そういう意味で、私自身も小さいながらも日本の様々な場所で地産地消の考えを

原点に農業そのものに取り組んでいこうと思う。

 

以上