近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

人生100年時代の起業の適正年齢を考えてみる

日本の起業家が増えないことは、長年の課題だ。

国も民間も様々な支援活動や下地作りをしているが、一向に起業家の数は増えない。

起業大国、米国と比べると顕著である。

起業家の数はずっと日本は少ない。

 

もちろん、起業があれば廃業がある。

起業はハイリスクハイリターンであるから当然だが、日本では、10年生存率は100社に6社という定説もあるぐらいだ。

 

日本の特徴と言えば、シニア起業が挙げられる。高齢化社会の象徴であるが、60歳はいうまでもなく最近は70歳を超えた起業も珍しくない。私の知り合いにもシニア起業家は多い。

 

一方で、20代のいわゆる若手起業家も数は多くはないが、メディアで話題になりやすい分、若手起業家の印象は強い。また、若くして起業するのは称賛される傾向にある。

 

私は、31歳で起業した。実は、20歳代で起業することを目指した時期があった。

結果、様々なしがらみと事情で30歳を超えたが、それでも若手起業家としばらく言われた。

若手起業家に対する世間の感覚は体験した。

 

今とは少しは事情は違うが、基本的には世間は若手起業家を応援したいという空気は感じる。もちろん、当たり前の話だが、個人差が大きい。

 

例えば、同じ起業家、いわゆる昭和の時代の創業者は、とっても心強いエールを送ってくれる。同志としての応援を感じる。起業家支援や起業家育成支援をしていると人達とは、私は縁がほとんどなかったが、応援してくれる部類だろう。

 

では、自分の身内はどうかと言うと、基本的にそんなリスクなことはやめてほしいというムード。起業して数年して思ったことだが、独身で起業するのが楽かなと真剣に思った時期もある。

 

起業には資金調達は付き物だが、私も間接金融、直接金融両方使った。前者はいわゆる銀行借り入れ。今の銀行とは違って、なかなか骨が折れた。もっとも、銀行の方からしたら若手起業家に融資はリスクなので、今となってはその態度もよく分かる。

直接金融は、それまでの人生でお世話になった方々や友人知人などにお願いした。

 

そして、お客様との付き合いも始まる。私の場合はIT業界だったことがあるが、若い企業家としては歓迎ムードであった。しかし、人間の性だと思うが、少し先輩のIT会社は私には手厳しかった。要するに下請け扱いだった。

 

また、製造業などの大手メーカーと付き合ってもいたが、起業家と言うよりは単なる仕事を受ける人扱いで、大手企業の外注枠の一員としてレッテルを貼られていたように思う。

 

今になってすれば、思い違いも幾分あるが、これを要約すると、日本は、全般的に若手起業家を応援するムードではない。チャレンジする人を国を挙げて応援する風土ではない。これは今も変わらないと思う。

 

最近は、シニア起業家が増えつつあるし、メディアなども話題として取り上げることも多い。

確かに、今は、日本の高齢化問題と言うのはどんよりしている。だから、アクティブシニアにフォーカスがいく。中でもシニア起業家は格好良いし誰もが応援したくなる。

 

元気なシニアが増えることに対しては、この日本も大歓迎だと思う。

何よりも、私の世代やもっと若い世代にも大きな好影響が生まれる。私も口癖のように引用させてもらっているが、何かを始めるのに遅すぎることはない。であるし、シニア起業家のほとんどの方は、社会貢献型である。今の経済メカニズムからは距離を置いた起業が多く、まさに社会貢献の旗手としての存在感が際立つ。

 

若手とシニアと起業の中でも特徴的な年齢にフォーカスを当てて考えてみたが、今の起業の平均年齢は、年々高くなっていて、43歳程度である。

何事も中庸から離れると目立つし、周囲も気になる。

 

若手には、無謀なチャレンジを諫めたり、上から目線で教えようとしたり。

シニアには、もういい年なんだからおとなしくしていたら・・と思ってみたり、高齢者はひっこんでと思う人がいたり。

 

色々と普段から考えてはいるが、世間が歓迎する起業の適正年齢はいったい何才だろう。

 

多分、ある程度仕事のキャリアも積んで、貯えもあって、周囲の協力も得れらる年齢。それがあるとしたら、50歳代なのかと今は思う。家族がある人は、ある程度の子育てなどの役割も一段落する頃である。

 

しかし、私のようなタイプが思うことは、国や社会が元気になり、実際に本当の地に足のついたイノベーションが生まれるためにも、若手やシニアや女性や新興国の人達の多様な起業がもっともっと当たり前になる国を目指すことである。

 

以上