近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

そもそもビジネスチャンスとは何だろうか?

ビジネスチャンスを掴め。

結構私も好んで使ってきた言葉だ。

本のタイトルにも使ってきた。

 

 

特に、新興国で活動していると、見るもの聞くもの体験するもの、全部がビジネスチャンスに感じるのである。

ベトナムには随分沢山の日本の創業社長をお迎えした。単なる体験視察の方もいれば、本気でビジネスネタを探しにこられた方も多い。

総じて言うと、だいたい65歳以上の創業社長がベトナムを訪れると、皆一様にテンションが上がる。

まったく未知の世界を感じるのではなく、ご自身の昔の体験が蘇るからだ。特に、戦後の復興の中で、たたき上げてこられた彼らは、あの時の感覚が体に染みついている。自然と、ビジネスチャンスが幾らでも見えてくる。過去の自身の失敗体験も活かせると確信できる。そして、ベトナムにチャレンジを決める。

 

もうこれはかれこれ、20年近く前からの話である。

いまでこそ、ベトナムにおいても、日本の若手の創業社長も増えてきたが、その当時は、こういった未知の国に訪れるのは、日本の混沌の時期に生き延びてきた人たちだった。

新興国の今と、日本の昔がオーバーラップする訳だ。

これは、経営者に限らない。日本で一線から退いたシニア層の人たちも同じことで、もう一花咲かせようと、再燃した人を何人も知っているし、結果的にそのきっかけを私が創ったこともある。こんな訳で、私の感覚では、今の日本国内よりも比べ物にならないビジネスチャンスが新興国に存在すると思う。

 

ところが、実は、このビジネスチャンスの尺度や中身と言うのは、絶対的なものではなく、相対的なものである。自分が生まれた時代、自分が挑戦しようとするテーマ、経営環境などによって、ビジネスチャンスの定義というか中身は変わる。

 

例えば、単純に金儲けだけを考えるなら、今の新興国のマーケットでは魅力が薄い。もちろん、数年先、10年先を見据えれば、かつての日本の様な成長は期待できるが、今すぐに結果を出したければ、やはり、ビジネスが成熟した先進国の日本だろう。

とはいえ、当たり前の話だが、ライバルも多い。既存の業界で、新参者として挑戦することに意欲を感じれば、仮に衰退産業でもビジネスチャンスになる。

一方、競争を避けて、誰もがやっていない領域を目指すなら、万分の1ぐらいの確立にはなるが、スタートアップして、グローバルプラットフォーマーにチャレンジすることもできる。

あるいは、小さな町で小さなビジネスをすることもとても意義がある。こちらは、堅実にやれば軌道に乗りやすい。これもりっぱなビジネスチャンスである。

 

要するに、ビジネスチャンスというのは、それにチャレンジする人の価値観や尺度で決めるものであって、周囲がどうのこうの言うものではない。

 

最近は、金儲けだけを優先してきた大人に対する反動なのだと思うが、最初から社会貢献型のビジネスを志向する人も増えてきたと実感する。もちろん、20年以上前から、社会起業家の人は少なからず存在したが、とても少数派だった。

 

今は、世の中が一気に社会貢献型のビジネスにチャレンジすることを応援する風潮に変わりつつある。そして、資金もつながってきそうである。私がビジネスチャンスをどうとらえるかについては、昔から変わっていないが、誰もしていないようなことにチャレンジをするタイプだ。

 

もちろん、その原資は必要だから、自分たちの力量で収益を挙げることが出来る分野に堅実に取り組む。こんなバランスがとれたら理想だなと思いながら、世の中のビジネスチャンスにアンテナを張っている。

 

以上