近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

セルフサービスが増えれば社会は健全になる

セルフサービスと言えば料金が安いのが定番だ。

 

顧客として誰かにサービスしてもらう以上、その対価を支払うのは常識だ。

日本にはチップ制はないが、その分、人によるサービス料は、代金に含まれると考えるのが自然である。

 

経営する側からすれば、サービスを人で行うためには、その人の人件費を負担しないといけない。原価をどこに含むかは、考え方次第だが、例えば高級旅館であれば、宿泊代や食事代に含んで原価を考えるのが自然だ。

 

一般的には、こういうサービスの人件費を販管費一般管理費及び販売費)として扱うこともあるが、正しい原価管理とは言えない。

いずれにしても、サービスにはコストがかかる。

当然、高級になればなるほどサービスを提供する人の人件費は高くなる。

 

日本ではおもてなしが有名だが、特別なおもてなしには、熟練した人が不可欠だ。そういう意味では、ハイスキルのサービス職人という事になり、当然、人件費は高い。

 

日本は、サービスと一般的に言えば、ただという考え方が、市民には定着している。

経営の論理から考えると、それは必ず何かの対価に含まれることになる。

 

コロナ禍前から、日本でもセルフサービスが定着しつつあった。デフレと言われた時代も長かったので、顧客としてもリーズナブルなサービスを求める声も大きくなりつつあった。

 

そういう時に、登場するのがセルフサービスである。

例えばビジネスホテル。アメニティが必要な人は、フロントで受け取るようなホテルチェーンも増えてきた。流石にリゾート地であれば興ざめだが、ビジネス目的であれば、これが丁度よい。無駄なものも使わないので、資源の節約にもなる。こういうホテルの朝食も基本的にブッフェ形式で、食器の返却もセルフだ。

 

私が良く利用する立ち食いソバなどは、食器の返却は、30年ぐらい前からセルフだった。今であれば、コンビニのコーヒーもセルフに近い。

 

 

サービスを提供する側の人手不足という背景や、それを埋めているのが新興国の人々であるから、自然とハイサービスの要求は減衰する。以前通りハイサービスを求めるのであれば、料金はしっかり払ってくださいね。ということである。

 

ちなみに、私の趣味の一つにゴルフがあるが、日本ではキャディが一緒に回ることは少なくなった。もちろん、高級なゴルフ場ではキャディは必須だが、一般的なゴルフ場は選択制か最初からセルである。ゴルフしたことがあれば分かるが、バンカーの整備やクラブを持ち歩くのも自分である。慣れれば全くどうってことはない。

 

新興国などに比べたら、良く分かるが、日本のサービスはハイレベルだ。セルフが増えてきてもなお、世界ではハイサービスの国である。

 

コロナ禍になって、一気に非接触が必要になり、セルフも増えた。コロナ禍前に比べると不便に感じる部分はあるが、これも慣れの問題だ。社会的な課題を抱える国の日本が、普通の国として、健全に再生するためには、私はセルフサービスがもっと増えるべきだと思っている。

 

数年前の本にも書いたが、ECは便利だが、考えようによっては、自分で持って帰れば良いものを、運送代行してもらっている部分が大きい。車に乗せないといけないような大物であれば別だが、本にしても食品にしても、配達に頼るのではなく、自分たちで持って帰る。

(もちろん、シニアや運ぶことが大変な方は例外であるが)

 

今一度、こういうコロナ禍で配達が当たり前になり過ぎている時に、あるべき姿を見つめなおして、コロナ禍が落ち着いたら、顧客としてハイサービスだけを求めるのではなく、自然体で、自分のことは自分でする。

 

そうすると、必要以上にサービスに対してナーバスにもならないしモンスタークレーマーも減るだろう。セルフサービスだけど、日本全体はハイサービスという新たな境地を生み出すことを目指したい。

そのためには、子供の頃に帰って、自分のことは自分ですることを実践していこうと思う。

 

以上