近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

実績はありますか?

実績はありますか?

長年、日本の社会の口癖ではないだろうか?

言い換えれば、やったことがありますか?

に近いが、ビジネスの場で考えると、これは、やって結果を出したとがありますか?というニュアンスだ。

通常のビジネスシーンでは、顧客に対して何か提案する機会を得たとして、顧客が私達に実績はありますか?というのは、自然の話である。

流石に、はじめてのお客様ですと言って、買ってくれる顧客は、世の中にいないわけではないが、とてもレアである。

こんなことは、当たり前のことであるのだが、このあたりに、奥の深い日本の課題が隠されている。私も創業した一人なので、こういうシーンは数多く体験して来た。

顧客開拓に行くと、創業して半年しかなくても、実績ありますか?という社会だ。大企業は特にそうだった。まあ、正直言うと、初めででも初めてでないふりをするというのが、がむしゃらにやっていた時の感覚だ。

なぜなら、日本では、はじめてですというと、顧客は不安になるし、わざわざ、そういうお試しに付き合おうとは思わない人が多い。一方で、起業というのを冷静に考えてみると、よっぽど、会社員として実績を積み上げて、それをベースに活動しない限り、起業家が目指す新規事業の創出に関しては、未経験であり、実績などないのである。

 

こういうチャレンジングなことをしようとして、現実、どうやって顧客開拓をしていくのかである。熱意、本気、やる気を伝える。そして、応援してくれる人を見つける。

これは起業家にとって必要な気質であるが、それにしても、日本の社会は必要以上の実績を問われることが多いと私は思っている。

実績はありません。でもやる気と根性はあります。もちろん、その根拠もあります。こんなことができる社会になったら、もっと、日本は変化に適応できる柔軟な社会になると思っている。

 

実績と言うのは、どこかで初めてチャレンジして、失敗を繰り返して、そして、徐々に力がついて、商品も良くなって、ようやく顧客が満足するレベルに達する。

では、そのレベルに到達するまでは、1円も対価を受け取れないのか?と考えても不思議ではないが、現実は違う。それこそ、営業力であったり、応援であったり、何らかの方法で、試しで使ってもらう事から始めるのである。

こういうプロセスは、ある意味、余計な労力の部分も多い。

 

実は、日本は、一旦出来上がった国であるがゆえに、実績主義に偏り過ぎていると思う。

高度経済成長期の最中までは、失敗を恐れずだったはずが、いつのころから、慎重に慎重にが過ぎて、実績重視の国になってしまった。

だから、起業に限らず何かにチャレンジする環境としては不十分だ。企業でも大企業との取引になると、新参で採用してもらうには、相当な力が必要である。

 

話は変わるが、官公庁自治体の入札制度がある。どんな業種の業者にとっても公的な仕事として山のような仕事がある。

ところが、この世界は、民間の何倍も実績主義だ。中小企業の参入を促しながら、実績ありき、私は矛盾していると思っている。

 

確かに、当該案件を失敗することはできない。だが、中小企業の参入を促すのであれば、やったことのない会社に委託しない限り、前進はない。

民間も公的な仕事も、実績重視から新たな選択する指標を生み出さないといけないと思っている。

 

以上