使われないITがなぜ蔓延するのか?
ITやDXの話題を耳にしない日はない。
もちろん、私の専門の仕事の一つであるという理由もあるが、一方で、すでに一般の生活者の世界でも、ITが日常会話になりつつあるように思う日々である。
様々なものがITでつながり、便利な社会が進展する。ITの恩恵は疑う余地はないが、その裏では、使われないITが山のように存在する。
このことは、ITという言葉が登場した20数年前から変わらない。
どんな仕組みにしても今流行りのクラウドサービスにしても、ITの基本はコンピューターである。コンピューターというのは、基本的には、データや情報を入力してはじめて、処理ができる。プログラミングされた通りに動く。そして、何らかのアウトプットが出る。
誰でもが使っているATMで考えても同じだ。インプットは、通帳かカードであり、それに暗証番号を入れて、処理したい操作を選び、金額を入れる。このあたりがインプットだ。そして、処理が行われる。私たち利用者から見たら、これだけだが、コンピュータの仕組みでは、とても厳密、精密にできていて、その指示通りに、お金に関する処理が行われる。
考えるだけでも複雑な膨大なコンピュータシステムがある。もちろん、一般ユーザーがこういうところまでは、流石に意識する必要はない。
これを身近なパソコンの仕事で考えても同じだ。
経理処理、販売管理、人事管理など定番のITが今はどこの会社にもある。業務においては、プロジェクト管理のソトウェアを使っている会社も増えてきた。お手軽なところでは、スケジュール管理、ToDo管理も使い勝手は良い。そして、営業活動を管理するソフトウェアも定番化してきた。私たちの仕事の周りは、実に多くのITに囲まれている。
だが、このあたりもシンプルに考えると分かり易い。インプットと処理とアウトプットである。実際、企業の現場に行くと、期待をもって、自分たちの仕事の効率性や生産性を向上のためにITを導入してはみたが、使われなくなるITのオンパレードだ。
なぜ、そういう事が起こるのかだが、もちろん、理由は幾つもある。その当該ソフトウェアを実際に使ってみると、必要な機能が不足している、使いにくいなどの理由は良くある話。しかし、今は、クラウド全盛時代、自分たちの仕事のやり方を変えて、合わせることも大切だ。
多くの企業で、ITが使われなくなる最大の原因は、インプットを疎かにするからだ。そもそも、昔から、コンピュータ、入力がなければただの箱。もう30年以上前に流行った言いまわしたが、基本的な事は、ITはコンピュータである限り変わらない。
インプットをするのは実際に、面倒くさい。余計な手間に思える。特に、目の前の事だけを意識して仕事していると、先に役立つことにはアクションをしない。組織の大半はこういう人だ。
だから、対策としては、自主的にできるようなものではなく、ITにインプットしなければ、仕事ができないようにする。これに尽きるのである。中途半端に、自主性に任せたITは使われなくなるのは明白である。少し話は飛躍するが、今、RPAもITの一つとして、普及しつつある。人間がコンピュータに対して、インプットする、指示することを自動化しようとするものだ。これはこれで、私も歓迎なのだが、それは、自主的にITにインプットができる人のみがメリットを享受できる機能と考えるのが正解である。
以上