近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

農業も林業も自給率をいかに高めるかは私たち次第

食糧自給率は、ここ最近、世間でもよく話題に上っている。だから、多くの人が知る所となった。

 

日本は、先進国の中では、異常に食料自給率が低い。色々な統計によって、解釈が違うこともあるが、仮にそうだとしても、現時点では、食料を海外から輸入しないと、私たちは、安定的な食を享受することはできない。

一方で、木材の自給率というのは、全ての日本人に関係がある訳ではない。特に、木材の利用は、住宅などの建築が主なので、直接的には、木造住宅を建てる人に関係がある話だ。

だから、食料自給率ほど話題にはなかなかならないし、日本人全員の関心領域には入りにくい。

 

しかしながら、森林資源を日本の豊かな自然の根幹を成すものと見た場合、この自然資源を健全に維持していくことは、食の問題と同等以上に私たちの安定的な生活に関わってくる課題である。

私は、ここ数か月、様々な縁がつながって、林業や森林について、学んでいるところだ。

 

最近、出会った本では、森林列島再生論はとても秀逸で、私が断片的にしか知らなかったところも、網羅的かつ体系的に学ぶことがことができた。

それと同時に、農業のこれからを長い間考えてきて、農と農業の発展に関して、アグリマスターズの事業活動に取り組んできて、少なからず、色々な糸口が見えてきたところであるが、つまるところ、農業も林業も根っこの問題は同じところがあると確信が出来た。

 

少なくとも、産業の発展優先、経済優先で進んできた私たちの高度経済成長時代。その時は、目の前の発展や成長だけ考えて、選択してきた結果、将来にとても大きな問題を残すことになっている。今からでは間に合わないと諦めればそこまで。過去の済んだことは反省だけにとどめて、今からでも十分に間に合うと考えて、改善に向けての取り組みが必要である。

ゆっくり考えている時間はない。これは農業も林業も同じだ。海外からの輸入をゼロにはできないとしても、やはり、農業も林業地産地消の原点に立ち返るべきなのである。

少なくとも国内での地産地消をベースに産業や経済のメカニズムを再構築しないといけない。農業も林業も海外からの輸入に頼る理由は、一義には価格だ。日本国内は何かと高くなる。だからと言って、海外に今後も依存し続けていては、ますます、日本の自力で農業、林業を発展させる力が衰退する。

今こそ、自立に向けた取り組みが必要である。そのためには、生活者である私達日本人が学ばないといけない。少なくとも私たちが、安定的に人生を送るために不可欠な食と住まいに直結する重要な問題と捉えて、お金の使い方も見直さないといけない。

私は、農業の問題について、昔から持論は変わらないが、余暇や贅沢品にお金を無駄に使うぐらいなら、そのお金で、少々高くても良いから、農家の収入が増えるように、積極的に国内産を買えばよいと考えてきた。

 

この考えは今でも変わらない。海外からいくら安いからと言って、どこでどう作られているか分からないものを食するより、よっぽど安心だし健康的である。

そいう意味では林業も一緒で、日本人がもっと自国の木材を使う生活の機会を増やすように生活スタイルを変えればよい。余裕がある人は、積極的に国内の木材を使う家を買えばよい。

結局そういう行動が巡り巡って好循環を生む。もちろん、国の補助も必要だろう。無駄な公共投資やIT予算を使うのをやめて、産業としての第一次産業とだけでなく、国の自然資本の保全という観点から、予算配分をするべきだと考える。

 

 

以上