近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

これからの私達に必要な学びは何かを考える

先日の日経新聞の一面に聞きなれない言葉がトップニュースになっていた。

見出しだけ引用すると、“リスキングに1兆円”、首相所信表明とある。

この5年で、成長産業への労働移動を促すリスキリング、つまり、学びなおし支援を行うというものだ。

率直な感想としては、ようやく国も本腰を入れるかというところだが、詳細の政策などをまって、この予算活用には意見を持ちたいと思う。が、今のところは、どうもビジネス優先の方向性と受け止めた。

もちろん、企業の経営の視点で見る時と、働く人の立場、生活する人の立場で見る時の学びなおしの考え方にはギャップは大きい。

少なくとも企業から考えたら、一義には、自社のビジネスの遂行に貢献する人材の育成に先行投資を長年続けてきた。だから、その延長線上で考えたら、新たなる事業や有望な分野にも適応できるように、学びなおしが必要だとなる。

これを仮にリスキリングといってもそんな目新しさはない。多分に今の流れで言えば、DX、データーサイエンス、AIといった流行言葉が中心にあると思う。

 

私は、これだけでは、これからの企業の役割は不十分だと思っている。

もちろん、企業は営利活動であって、社会奉仕をするためにあるのではない。しかし、すでに世の中の潮流は定まっているが、中長期的に社会貢献を実現しながら、短期の利益を稼ぐという中々ハードルの高い経営課題に直面している。

 

そして、この必然の流れは、もっともっと早くなる。とすると、企業が行う教育は、この流れに沿って、先を見据えた先行投資であるのが自然だ。つまり、私が期待するリスキングというのは、自社の今のビジネス活動への貢献ではなく、未来の社会貢献などのテーマに対しての学びなおしが必要と考えている。

 

昔から、自己啓発と言う言葉がある。

イメージは、自分が働いている会社とは関係ない分野やテーマや資格取得など、自分の将来のための先行投資だと思う。これはこれで大切な取り組みなのだが、これからの時代は、個人だけではカバーしきれない。それこそ、国民全体のリスキングが必要なのだ。

 

とは言え、実際には、スキルという言葉では表現できない。今の日本人に必要なのは、もっと異質なものを受け入れる、地球規模にグローバルで出来事を受け止められる感性が必要である。自分の周囲だけで健全に見えていても、見えないところで不健全なビジネスの仕組みになっている現実、グローバルサプライチェーンの起点となる所での搾取労働や人権侵害。こういった見えない部分が、無尽蔵にある。

こういう社会を現代人が作ってしまった結果なのである。

良いところは、もちろん、踏襲すればよいが、一見よく見える、上手く回っているようで実は、見えないところでは不健全だったり問題だらけだったりする部分。

最新テクノロジーやそれを使うスキルを磨くのも良いが、そのもっと前に、今起こっていること、社会の現実、新興国の実態、そもそも自分の働いている会社が世の中に提供しているビジネスの成り立ち。

こういうところを、自社の世界から離れての学びなおしが必要だと思っている。そして、その機会は、老若男女国籍関係なく、今が一緒に学ぶことが大切だと思っている。そういう機会を少しでも創造することが私の使命だと再認識しているところである。

 

 

以上