近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

さんまと私と魚の未来

先日、久しぶりに、サンマを食べた。

新物の生サンマという意味でのサンマである。

サンマは秋刀魚と書く。こう見ると、秋の魚の印象が強い。実際は、冷凍ものや干物があるので、年中食べられるが、この季節の新秋刀魚は格別な味わいがある。

私は、もう30年近く、この季節になると、かなりの頻度で秋刀魚を食べていた。

塩焼きが最高においしい。秋刀魚の造りもなかなかいける。

数年前の凝っていた頃は、毎日のように秋刀魚を食べた。

 

ところが、その頃から急に、秋刀魚の不漁がニュースになるようになり、やがて、スーパーで安いときは、一匹100円ぐらいで買えていたものが、200円、300円。そして、高級魚の仲間入りとさえ言われだした。

 

コロナ禍が始まって、もうすぐ3年になる。

私の居酒屋通いもすっかりなくなっていた。今年で3回目の秋刀魚の旬の季節である。今年こそは、新秋刀魚の塩焼きを食したいと思う。

実は、冒頭で書いたのは、オフィスの近くの行きつけの回転寿司屋さんで食べた秋刀魚の握りだ。数年前は、一番安い皿に乗っていたのが、今や、高級魚の手前ぐらいの値段だ。

 

 

たかが回転ずしだけれども、100円と300円では、選択の時の躊躇が違う。知っている人は多いが、イワシも秋刀魚と同じような事情だ。私は、そもそも、子供の頃からの習慣で青魚は好物だ。だから、サバもコハダも好んで食べる。私の場合は単なる習慣からの好みだが、最近の健康ブームに乗って青魚を食べる人も増えているようだ。

 

さて、どうして、秋刀魚やイワシが、不漁になって来たのだろうか?

様々な要因があるとはいえ、漁獲が過ぎるのが最大の原因だろう。特に、日本人が好んで食べていた、秋刀魚などは、今は台湾や中国でも多く消費されるようになった。この先も、この流れは変わらないだろう。 

 

魚は、大洋を回遊する。

だから、どこで漁をしようともOKとすれば、日本だけが天然資源を独占しているというのも、変な話だ。そもそも、根底には、農業の問題と同じように、人口爆発の中、海産資源も枯渇に向かっているという事だ。

 

農業は自然の中での営みであるが、太古から基本的には、人間が関わって、畑を開墾し耕し、種をまき、育てている。これは世界中同じだ。もちろん、一部、全く天然の果物などを食することもあるにしても、基本的には農業というのは人工で行うものである。

一方、漁業は、自然の恵みを頂く。だから、単純に考えると、取り過ぎたら減っていく。

実際、そういうデータを見ても、世界の天然の魚資源は激減している。

だから、養殖に期待することになる。この養殖は農業と似ている役割だ。人間が関わって、魚を育て、それを消費する。

一見理にかなっているが、天然資源の減少分を補うには至っていないし、まして人口爆発の中、養殖で魚資源を賄うのもなかなか高いハードルだ。

 

専門家に教えてもらったところによると、そもそも、養殖の魚のえさは天然の魚が大半らしい。そうすると、幾ら効率よく養殖が出来たとしても、結局は、天然資源が枯渇する。

 

最近では、昆虫食なども話題になっている。人間の営みに欠かせない食料。旬の秋刀魚も味わいたいが、そろそろ、食べられるだけで幸せと思わないといけない時代なんだろうと思う。

 

以上