近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

病院にとって果たして患者は顧客なのか?

最近、私も個人的に病院に行く機会は増えてきた。自分の事、家族の事という具合に。

そんな時、総合病院の進化には驚くものがある。簡単に言えば、待ち時間が昔よりは短くなったし、仮に待たないといけなくても、今自分がどういう状態かが分かる病院もある。そう、呼び出し機を受付でもらって、その次の行動を促すガイダンスがある。

 

昔に比べて、何と居心地の良いことか。

もちろん、まだまだ、自動化、IT化の過渡期なので、千差万別。一方で手書きカルテの街中のクリニックもまだまだ多い。

もっと言えば、ベトナムなどの病院に比べたら、日本のアナログ方式の病院でも遥かに進んでいる方だ。このコロナ禍でも日本の医療レベルや病院の対応力など、世界と比べた議論や評論が喧しいが、日本ぐらいよくできた病院はないのではないかと私は思う・・・。

 

とは言いながら、海外では、私は実際にはベトナムで一回だけ、咳止めのクスリをもらいに、日系の病院に行ったことがあるだけだ。だからベトナムの病院体験者ほどではない。ただ、その時の印象は強烈で、ベトナムだけに、フランス製の咳止めを処方してもらい、それがあまりにもきつかった記憶がある。

 

さて、今日の本題であるが、患者は顧客かという話だ。私は、仕事柄、20年以上前から、企業の顧客満足度向上のコンサルや支援を集中的に手掛けていた事がある。

その時からずっと思っていることがあり、それは病院における顧客満足度向上とは何か?である。そもそも、病院に行く人は患者だ。

もちろん、健康な人が健康診断に行く事もあるが、基本的にはどこかに健康上の問題が生じたか、それが懸念されるからいくのである。

だから、患者と総称して差し支えないとは思うが、その前提で話を進めたい。

 

一般的な企業の場合、顧客にはリピータになってもらいたい。そして、買い物をしてもらったり、サービスを繰り返して受けてもらいたい。レストランしかり小売りショップしかり、遊園地でもそうだ。

企業の本音としては、一生のお客様になってほしい。だから、ロイヤルカスターなどと称して、特別扱いする。至極当然の商売の原理だ。

これを病院に当てはめることは単純にはできない。私もそうだが、できる事なら人生で病院に行く機会は減らしたい。できれば、一度も行かないほうが良い。

実際はそんなことはないのだが、時々、病院に行くたびに、全く病院に行かない人はいるだろうかと考えたりする。

つまり、患者にとって、病院はできるだけリピートしたくない場所なのである。

ただ、一方で、病院も民間なら当然として、利益を出すことも必要だ。勝手に単純に考えて、患者が増えれば増えるほど、利益は増えるだろうと思う。また、患者を競合の病院同士で取り合いと言う事もあるだろう。こんな特殊な関係での、顧客(患者)対応と言うのは、なかなか難しそうにも思うのだが、視点を変えて考えると、究極のお客様商売と言える。

その最大の要因は、口コミ力だと思う。

仮に、私がとある病院に行って、対応も素晴らしく病気や不具合がすっかり治ったとする。そうすると、きっと、周囲の人にそれを教える。

あの病院、安心だし信頼できるし、きっと、医療レベルも高いよ。こんなことが日常で起こるようになると、ほっておいても患者は増える。

 

もちろん、IT活用でもっと便利にすることも大切だが、やはり、基本は、人間の対応力。それこそ、病院だけに、ホスピタリティが優劣を決めるように思う。

 

 

以上