近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

変化適応力がどうして重要視されるのか?

変化適応力。

ピンと来る人が、どれぐらいいるだろうか?

 

まあ、これは、ビジネスの世界の話が主であって、普通に日本で暮らしていくには、今のところあまり関係がないように思う。

もちろん、10年先、20年先はわからないが、今回は、ビジネスの世界に絞った話をしたいと思う。

今、私のビジネス活動の周辺でも、この変化適応が大切だとか、変化適応力を身に着けようという話題が少しずつ増えてきた実感がある。

 

実は、数年前に出版した拙著“アナログ力を駆使して中小企業が変革する”を出版した際にも、明記した。中小企業支援をビジネス活動の柱としているわが社は、中小企業のペースメーカーとして歩んでいる。

中小企業の世界は、大企業の世界に比べると、総じて、アナログ的だ。もちろん、例外もあるが、全体的には疑う余地がない。それは、私たちの生活や社会を支えるエッセンシャルワークが多いと言う事ともつながる。

特に、フィジカルな要素の比重が大きい仕事が多い。高度経済成長期を通して、日本の中小企業は、護送船団方式と言って、大企業の傘下や系列に属して、安定的な経営を指向してきた。

もちろん、積極的にそう望んだかどうかは別として、結果的には、経営の安定のための必然的な選択だった。

そして、30年以上前のバブル崩壊を境目に、中小企業は荒波にさらされるようになった。自立しか生き残る道は無くなったのだ。それと並行して、中小企業の後継者問題が年々増大し、今やM&Aなどの事業承継を支援する会社が超有望企業となっている。

 

いつまでも続くとは思わないが、こういう会社の時価総額を見ていると、驚くばかりである。

単純にそういう市場があるということだと思うが、裏を返せば、激変する時代に事業承継もままならず、廃業や売却の会社が激増していると言う事である。

この先、ますます、中小企業が減っていく予想ではあるが、いつになったら底を打つのだろうか。

中小企業のペースメーカーとして、決して他人ごとでもなく、自分事として、経営環境の変化に適応するべく、日々前進してきたつもりだ。

こんな中、最近、変化適応が重要だと考えたり情報発信したりする人が増えてきたと感じている訳である。それに拍車をかけているが、環境に配慮したビジネスへの転換、IT活用の劇的な進展、加速度的につながるグローバル社会、新メディアの登場による留まるところがない情報過多。

 

幾らでも変化は語れるが、こういう変化に適応するとはどういうことなのだろうか。

多くの人が語ることは、固定概念や固定観念を捨てる。常識にとらわれない。前例を捨てる。成功体験を過去のものとする。

 

いろんな心構えを伝授する人は多い。もちろん、私もこういうことは大切だと思う。ところが、そうは言っても変われないのも人間。そもそも、本能的にもそうだろうし、人間は社会的生活を営む動物で、仮に自分が変わっても、周囲も変わらせないとと、とっても厄介な状況に追い込まれる。

 

私は、日本と新興国をずっと見続けてきて思う事は、やっぱり、こんなに恵まれた日本では、変化する必要性は感じない人が大半だろう。一方、新興国は別に変化しているわけではなく、今のあるがままに過ごしているだけの事である。

 

言わば、私が子供の頃の日本のような貧しさに今でいう最先端テクノロジーが使える環境。新興国にとっては、当たり前のこと。今の日本は、充分前に出来上がった国であり、そもそも、これ以上何をよくするのかというほど便利な快適な社会生活ができる環境にある。もちろん、高齢化、少子化、第一産業の衰退など課題は沢山ある。

 

しかし、新興国の課題に比べたら局所的である。今の日本の環境で変化適応力を身に着けるのは、よほどの人はともかく、大半の人にとっての必要な事、それは、体験と学びだと思う。それは新興国での。

そのための、機会と場所を創ろうと考えているところである。あとは、変化を恐れない、イコール失敗を恐れない勇気だが、今の日本にはこれが絶対必要である。そして、チャレンジする本人だけのことでなく、関係する周囲の人の姿勢や考え方も不可欠である。

 

 

以上