近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

ITの進化が早すぎて使いこなせない現実

世の中に、ITほど進化の早いものはないと、最近つくづく思う。

もちろん、40年近くIT業界に関わっていると、最近になって急に驚いている訳ではないが、それにしてもここ数年の変化の激しさには疲れ果てる。

私たちの身近で言えば、車や食料品なども次々と新しいものが登場する世の中である。

すでにこのブログでも何度も書いてきたが、欲求を満たすことを追い続けてきて、今や、ゴールのない進化にまい進している。

誰がそうさせるの?

鶏が先か卵が先かの話にいきつく典型でもあるが、面倒くさいので、人間の本能に起因すると考えた方がよさそうだ。

 

昔懐かしいスナック菓子のCMに“やめられないとまらない・・・えびせん”と言うのがあった。

今でもリズムとフレーズが頭にこびりついている。確かに、今食べてもやめられない止まらない・・だ。

私の好物であるアイスクリームもビールもシュークリームも、本当に次々と新商品が登場する。まあ、こういう一般生活に関係するものは、贅沢をし過ぎたとか、余計なものを買ったという程度で収まることも多いが・・。

もっとも、米国などでは、肥満の原因がファストフードであるとした訴訟も有名だ。

 

とどのつまり、際限のない欲求を満たし続けるのが、今のビジネスの本質であり、それに触発されて、どうしても余計な消費、衝動的な買い物がエスカレートする。

 

ITの世界もインターネットが登場したころから、その傾向が強まってきた。

それ以前は、ITなどは、基本的にビジネスのツールだった。ところが、ネットが普及しスマホを皆が使うようになってくると、ITも大衆が利用する、買い物する商品となって来た。

必然的に、やめられないとまらない・・・の世界に突入だ。

 

さて。皆さんのスマホにサブスク契約しているアプリで使っていないものはどれだけあるだろうか?これと同じように、企業で使ってないクラウドサービスの契約はどれだけあるだろうか?

企業でもよくあることだが、もうすぐ使うから・・・。少し先になって使うから・・。一度、使わなくなったとしても、いつか使う時がまた来るから・・。

こんな感覚でいる会社は、平気で無駄な契約を放置する。私もこんなことを書きながら、定期的に自社の点検しないと、使わない、使えないIT関連の契約が増大してしまう。

ITの場合、他の商品やサービスに比べて、見えないものである。という最大の特徴がある。

見えないものほど、怖いものはない。なかなか、素人ではその消費やサービスの評価はできないものである。

また、似たような商品やサービスが次々と登場し、どこにいても、そういう類のCMが目に飛び込んでくる。つまり、ネット広告やサイネージ広告の類だ。言うまでもなく、こういうところもITの本質で、20年前に比べても、ピンポイントでワントゥワンに近い形で、広告が送られてくる。

 

現時点で、企業サイドのIT活用の最大のメリットは、様々な広告手段と方法で、以前より、はるかにコストパフォーマスが良い広告ができているということだ。これでは、生活者や買い物をしたい企業はたまったものではない。

 

良いものに巡り合える、良いものを選択できる機会が増えたととる情報活用の達人もいるだろうが、世の中の殆どの人は、知らず知らずに、本能的な欲をそそられて、余計なものを買ってしまう。こんなことが、どんどん進化しているときなのである。

私は、この業界を眺めていて、歯止めがかかったとは思わない。確かに個人情報の収集と活用については、改善傾向は見られるが、ITを生活で使う機会が増えれば増えるほど、ITの進化に振り回されていくのは今のところは、変えようのない流れである。

 

 

以上