近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

断られる勇気と経験

"嫌われる勇気"という本が流行っている。

発刊は、2013年だが、根強く売れているような感じだ。

このタイトル、多くの人の機微に触れる事だろう。なぜなら、人間は本能的には、他人に好かれたいと思っている。

言い換えれば、嫌われたくないわけだ。

私も、もちろんそうだ。

若い頃、私もこのあたりは、思いっきり勘違いしていた時期がある。それは、31歳で起業して、しばらくの間。正確に言うと、35歳ぐらいまでだろうか。

かといって、大学生時代まで、正直、人に好かれるや嫌われるなどあまり意識していなかった。ところが、20代後半ぐらいから勘違いが始まり、10年間ぐらいは、自分は人に好かれる人間だと思っていた。今から考えたら、ノー天気な発想だった。

 

その頃から色々とあり、世間の常識を知った。プロ野球の国民的大スターの長嶋氏の話を頻繁に引用した。あの長嶋さんだって、もしかしたら半分か1/3には嫌われているかも。

そう、蓼(たで)食う虫も好き好き。そもそも、人間にはお互いに相性がある。それが好き嫌いと直結する。また、長い人生の中で、ある特定の人を好きなったり嫌いになったりする。

 

これを統計データ的に考えれば、他人に嫌われない人などいないのである。では、なぜ、嫌われる勇気という本が流行るのだろうか。中身を読んでみたら分かるが、結局、人間は、他人に好かれようと言う本能的な意識が強く、嫌われることを避けようとする。

 

そして、ストレスを溜め、時には人間関係で苦しむ。実に、人間とは不思議なものだと思う。

この嫌われる勇気と近いニュアンスに、断られる勇気というのがある。

 

今回は、仕事の話に絞り込むが、仕事で断られるシーンというのは、社内ではそうそうないだろう。例えば、部下の提案を上司が断るとしたら、それは当たり前の話である。好き嫌いではなく評価の話だ。正確には提案を採用しないという話だ。

 

では、仕事における、断られる勇気とは何だろうか?それは対外的な活動で重要な考え方になる。例えば、分かり易いのが営業パーソンを考えてみる。営業ができる人は、当たり前に知っているが、断られてなんぼだ。これは冷静に考えてみると、すぐわかる事である。商談を進めているお客様が10社あったとする。すべてが受注に至るなんてことはありえない。

 

商売によるが、せいぜい、3割程度ではないだろうか。そうすると、7割は断られるわけである。業界的に言えば、失注である。営業は極端な話し、100件のアプローチで1件だけ制約するような商売も沢山ある。ということは、99回断られる話である。

実は、営業力とは断られる勇気ということでもある。なかなか、断られることを嫌って、クロージングをしない。先延ばしをするである。こういう営業パーソンは間違いなく結果が悪い。

 

実は、これは、経営のアライアンスでも同じである。意中のアライアンス先とすべてが上手くいくことなどない。私は、経験上、常に三件に一件が上手いこと行くと考えている。私なりのブレない尺度だ。だから、ダメなものはダメとできるだけ早く結論を出したい。これもお互いさまの話である。

もう一つの理由は、別の相手先に目を向ける方が建設的であるからだ。いろんなケースが考えられるが、断られることを嫌う人は、なかなか頼み事もできない。また、優柔不断な人に思われる。

 

もう一度、社内の話に戻すが、どこの会社でもやたらと、自分の本業とは関係ない仕事の依頼を受けてしまう人がいる。頼まれたら断れない人だ。こういう人は、断られることに対しも苦手だ。断るも断られるも仕事ができる人の必須のスキルである。

 

 

以上