近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

事業承継にAI君を使う理由

先日、介護サービスを営む社長と、思わぬところで意気投合した。それは、AIを使った事業承継だ。

そして私は我が意を得た。

自慢話ではない。

私ぐらいの年齢になると、創業者なら誰しも事業承継をどうするかを考えている。しかし四六時中考えている訳ではない。

 

実際、私の周囲にも70歳を超えた創業社長もバリバリ現役で沢山いらっしゃる。また、人生100年時代と連動して、大企業でも70歳越えた経営者も少なくない。 

人間は一定年齢になると、記憶力は衰える。あの子供の頃から使ってきた暗記するという能力が典型だろう。

一方で、脳科学でも証明されているが、結晶性能力は向上する。つまり、様々な体験や知恵の蓄積で、判断力や構想力は増してくる。しかも社会貢献意識も高まってくる。

 

別の見方をすれば、経済の中にも常に経験豊富なシニア経営者は必要なのである。特に、今の世の中の方向を考えれば、単に儲けだけを考える経営者では心もとない。

 

少し、前置きが長くなったが、そうは言っても世間は違う。少なくとも10年、20年はずれている。だから、私の59歳と言うのは、そろそろ事業承継となる。実際の目安は65歳ぐらいだろうか。もちろん、千差万別、40代でリタイアした経営者もいる。

 

結局、年齢は関係ない話ではあるが、事業承継のポイントは、そもそも、トップがいなくなっても、会社が順調に継続的な活動できるかである。

創業系の社長がバトンタッチした時に、一番話題というか課題になるのが、攻めて守る人の存在が消えることである。

私が知る限り、創業社長は、一見攻め型だ。だが、実は違う。守りも超得意である。これは経営の本質を知らない人の思い込みと、どちらが目立つかという話である。だから、創業社長=攻めという印象が先行する。

 

よく比喩されるのが、アヒルの水かきの話である。創業社長からバトンタッチして安全運転のみに固執して、会社が衰退した話は枚挙に暇がない。

基本は、攻めと守りの両立が必要なのである。

スポーツの世界でも攻撃は最大の防御であると言われるが、経営も全くその通りなのである。逆に防御は最大の攻撃であるとは誰も言わない。

 

そろそろ、今回の本題に移るが、私は2016年に“もし自分の会社の社長がAIだったら”を上梓した。

 

 

私は本気で、AI君を使って事業承継をしようと思っている。その宣言の本でもある。

こんな私が、冒頭の社長と意気投合するのは、運命的としか言いようがない。今度、飲みながらじっくり話してみようと思っている。

 

ところで、事業承継をAI君を使って行うとはどういうことか、少しかみ砕いておきたい。

そもそも、AIとは何かであるが、詳細は、別の機会とするが、簡単に言うと、人工知能と直訳されるように、人間の知能をコンピュータで代行することである。

 

仮に、全ての事をAIが出来てしまえば、人間はどうなるのかという議論は喧しいが、そんなことは未来永劫起こらない。AIもツールであるから、脳がツールに置き換わることもないし、動物は身体全部で脳が機能している。だから、今の人間である限り不可能である。

 

これについても、この世界が二分されるぐらい専門家の議論は白熱している。

またまた、話がそれたので、本題に戻すと。

結局、経営者がしていることは、重要な判断とあとは、ラストパーソンとしてチェックである。

それは、誰でもが知っているPDCAのCと考えれば分かり易い。

先見的な判断能力と蟻の一穴も見逃さないスキル。結局、これも根っこは一緒である。

事業承継で絶対に欠かせないのが、このチェック機能の伝承である。これは、ほぼAI君とRPAでできる。

もちろん、これだけでは不十分だ。経営者も含めて仕事のやり方が属人的であれば、継承は困難である。だから、見える化なのであるが、ここにAI君はそれほど必要がない。

 

そして、攻めなどの判断力である。これはAI君でできる。ただ、きっと、永遠にできないのは、好奇心や使命感や挑戦する意欲であろう。

これは本能的なもので、これをAI君が代替えすることはありえない。

したがって、事業承継は、経営者が変われば、会社の性質は変わる。だけれども、会社が積み上げてきた機能や仕組みは変更なく事業承継はできるのである。私は、自分で実証するつもりである。

 

以上