近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

デジタル人材が不足しているって本当?

デジタル庁が設立された。

そして、デジタル人材が不足していると言う。

メディアでは、100万人近くが不足しているとした試算が載っていた。

唐突に出てきた感じがある、デジタル人材。

 

正直、IT業界に40年関わって来た私から見ても、よく分からない。

単純な理解としてはこうだ。

今、政府も民間もDXブームだ。誰かが仕掛けている訳だが、このDXを成功させるためには、デジタル人材が大量に不足していると言う訳だ。

にわかに信じがたい。

 

デジタル人材と呼ぶからには、アナログ人材という表現があっても良いと思うが、私なりに理解に努めるとこういう感じだろうか。

 

そもそも、IT人材とデジタル人材とは何が違うのか?これは、ITとDXの違いと連動させているように思う。

ITとDXは違う。というのが今世間では一般的だ。なぜそうなったかと言うと、DXはいままでのIT活用とは違うと喧伝している人達がいるからだ。

 

DXはデジタル技術を駆使して、社会や世の中を変革することとした上で、デジタル人材とは何かを考えてみる。

単純にデジタル技術に精通した人。ということであれば、ITエンジニアで十分だと思うし、仮にハードまで含むのであれば、確かに少し勉強が必要にはなる。

仮にデジタル人材ではなくて、DX人材が必要と言うならば、変革を構想したり実現したりできる人ということになる。こういう人材は、そもそも相当仕事ができる人であって、一朝一夕に不足しているからと言って育成するはできない。

また、ITやDXの本質的なところで考えれば、DX人材は、デジタル技術やITに精通している必要もない。

 

では、改めてデジタル人材とは、IT人材に少し応用力を付けたものと定義すると、どうなるだろうか。

実は、私が、IT業界にデビューした約30年前から、常にITエンジニアは不足してきた。経済産業省などからの試算が都度発表されてきたが、常にシステムエンジニアプログラマーが100万人単位で不足してきたのが日本だ。

確かに、この30年、IT業界は右肩上がりで成長してきた。成長産業だから、IT人材が不足しているといのは、とても分かり易い話だ。

だからと言って、IT業界の発展が阻害されたことは一度もない。

 

簡単に言えば、異業者からの転身や、新卒組がIT業界に向かえば、自然と解決するし、それに加えて、新興国のIT人材は、雨後のタケノコのように、生まれている。

インド、中国から始まり、ベトナム、ネパールなどでも当たり前、これからはアフリカでも視野に入る。

世界中の新興国ではIT人材が仕事がなくて困っている。更に大きな変化は、このコロナ禍も手伝って、ようやくにして日本もIT関連などの仕事がテレワークでできるようになってきた。

 

IT業界が先進的なイメージがあるが、実は、旧態依然とした、古い業界だ。

これからは、情報セキュリテイをコントロールできれば、ITの仕事は世界中どこからでも出来るようになる。つまり世界でテレワークできる。

 

仕組み的には、もう10数年前から出来たことであるが、日本のビジネス習慣が阻害していたのである。つまり、IT業界と顧客だ。

 

こうなってくると、あとは、言葉の壁だけである。もともと、ITは英語でできる世界でもあり、日本はそういう意味では、ガラパゴスだった。

しかしそれも、自動通訳、自動翻訳で早晩解決する。

こんな現状と照らして考えると、日本人のITエンジニアは過剰になってくる。しかも、これは一気に進む。IT業界の大変革である。

 

話は元に戻すが、デジタル人材は、日本人に限って言えば、不足するのではなく、新興国の人達との競争の中で、少数精鋭化することが大切だ。

一方、DX人材はDXが理想通り進むのであれば、今は不足している。しかし、第一歩は、IT活用とDX推進を混在しないようにするだけで、自ずとDX人材が明確になってくる。

そして、そういう人材は、すでに日本にも沢山存在する。IT業界以外に目を向ければ良いだけのことである。

 

 

 

以上