近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

テレワークはモビリティ革命につながるか

痛勤電車と揶揄されていたのが、随分昔のように思えるようになった。

日本の満員電車は海外から見たら、異様と言うか驚きの習性と思われていたのは間違いない。特に新興国での活動が長い私からしたら、東京や大阪の事情をどう説明するか、色々と考えたものだ。

 

私も20代は、大阪のど真ん中で痛勤ラッシュを4年弱体験した。正直、会社員になる事すら頭になかった私には、想定外の人生体験だった。もともと現場志向の私には、これが続くととても耐えられるものではなかった。

 

なので、26歳の転職先は、自宅から歩いて行けるところを選んだ。結果小さな会社だった。その次の会社もポートライナーで10分。歩いても、25分のところだ。そして、31歳の時、神戸で起業して、今に至る。

 

以来長く働いていると、東京などで通勤ラッシュにはたまに遭遇することはある。ただそれは、どうしても顧客訪問のスケジュール調整の結果であって、基本的には、私はそういう電車は避けてきた。

 

コロナ禍で、テレワークが一気に当たり前になった。そろそろ、以前の状態に戻るかどうかの次の葛藤が始まりかけている。

最大のポイントは、元のオフィスに以前通り、皆が出社するのか、通勤をどうするのかだ。

今の方向性では、少なくとも、電車に乗ってオフィスに出る頻度は、減るだろう。良い流れだと思う。今流行りのSDGs的な発想や環境問題の対策としても、効果はある。

 

ただ、劇的には変わりそうにない。

田舎者の私が、建築に関心をもって、少なからずそういう仕事をしてきた中で、社会人になって以来、自分の体験と重ねて考えてきたことがある。

 

そもそも、東京や大阪はビジネスをする場所である。もちろん、観光という事もあるが、圧倒的にビジネスをする人が集まっている。しかも、大企業を中心に集積している。

だから痛勤電車の様子が、時々メディアで流れても、それは大企業に勤める人達の苦労と葛藤だったはずである。満員電車に駅員が乗客を押し込む姿が印象に残っている。

 

知人の会社員などに聞くと、通勤片道2時間と言う人もいる。本当にお疲れ様と言いたくなる。往復、4時間。想像しただけでも大変だ。

スマホが登場してから、更に様相が不思議な世界になった。満員電車の限られたスペースの中、スマホでゲームに没頭する日本人。

もちろん、気分転換は必要だが、とても残念な時間の浪費だと思っていた。4月になり、コロナ禍対策も落ち着いてきた中で、果たして痛勤電車は元通りになるのだろうか。

私は、実際に遭遇していないし、テレビも観ないので、実情は分からない。

以降は勝手に私の願望と実現したい社会について書いておくこととする。

 

冒頭で書いたように、私は日本の絵にかいたような典型的な会社員にはなれない。仮にどんなに良い会社だったとしても、痛勤電車に耐えて、しかも大きな組織に馴染む人間ではない。だから、ある意味無責任に言うと、今までの鉄道や電車は、かなり減って良いと思う。

 

かつて、高度経済成長期に、郊外から都市部まで人を運ぶ必要があった。一方で、都市部の人を郊外に出かけてもらう必要も創った。遊園地やレジャー施設などが典型だ。そうして、往復ともに乗客が増大してきた。

そして、経済発展した。

それで並行して生活も豊かになった。しかし、とっくに時代は変わった。

都市部に集中する必要はかなり無くなってきた。人口も減っていく。そこにコロナ禍がきて、テレワークを覚えた。郊外に住んで、そこで仕事できることも分かった。田舎で生活して、都会と田舎のダブルハウスでもいける。

 

つまり、会社がどこにあっても良いし、当然、自分がどこにいても良い。流石に、日本の様な縦長の長い国で、鉄道や電車は無くならないだろうが、もうこういう基幹的なモビリティの役割は終わりに近づいている。

MASSという取り組みも北欧初で始まっている。環境意識も一般市民の中では高まっている。移動革命、つまりモビリティが大きく変わろうとしている。私達生活者がしっかりと意志表示することが変革の第一歩だと思う。

 

 

以上