近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

私の思う上司像

"どんな上司と仕事したいですか?"

これから社会人になる若者に聞いたら、

どう答えるだろうか?

まあ、きっと、人間力が豊かであるとか、優しいとか、頼りになるとか、だいたいこのあたりが上位にくるではないか。私も、社会人になりたての頃、そんな風に思っていたと思う。

厳しいとか、妥協を許さないとか、甘えを認めないとか。こういう部分は誰しも敬遠するだろう。

 

長年、ベトナムで社員を雇って、一緒に仕事をしてきた中で特に思う事は、未成熟な国ほど、優しい上司を望む。日本から駐在する責任者が優しい人だと、大人気になる。

人間はどこの国も根本的に同じだが、ビジネスの成熟度によって、実際の行動は違う。

 

日本人で働いて10年、そこそこ仕事ができる部類に属する社員に、どんな上司と仕事したいかと聞いたら、ほぼ間違いなく、優しい上司は除外されるだろう。

仕事ができる人は、優しい人の本質を見抜いている。そもそも、仕事は部下が上司のために、上司は部下を大切にするだけの関係で成り立つものではない。

基本的に仕事は顧客があっての仕事である。少なくとも経済活動している会社であれば、顧客からの収入がないと成立しない。今の時代、顧客が企業や商品を選択する目は、シビアになる一方だ。

 

仕事はあくまでも顧客を満足してもらうためにするのであって、部下満足でも上司満足でもない。

 

概ね、優しいだけの上司の下では、レベルの高い仕事は成立しない。なぜならば、妥協のオンパレードになるし、相互チェックや相互牽制が利かないと、どんな人間でもゆるみが出るし甘えが生じる。それこそ、プロジェクトを成功に導くためにQCDをバランスよく達成することは不可能になる。

世の中、枚挙に暇がないが、仕事レベルが突出したプロフェッショナル集団は、緊張感は半端ではないし、一つずつの仕事の要素に対してシビアなチェックが入る。

当然、責任者である上司は厳しい。甘い部下からしたら、嫌いな上司となる。

シンプルに言うと、部下に嫌われるぐらいでないと、りっぱな上司とは言えない。言葉を変えると、嫌われていても信頼されていればよいのである。もう一度、仕事ができる部下の話に戻るが、甘い上司よりシビアな上司の方が、いざという時に頼りになるし、自分の成長につながる。

 

上司の役割にはもう一つ大事なことがある。目の前の仕事を成功させる、成果を増大させる責任に加えて、部下の育成だ。基本的には、会社で継続して部下が働く前提だから出来る事である。

要するに、今、しっかり鍛えて仕事力を高めて、将来、会社に貢献してもらおうということである。こういうことが分かっている上司は、優しいだけの上司にはなりえない。

 

どんな世界でもそうだ。例えば、スポーツの世界でも、やり過ぎはご法度としても、鬼コーチ、鬼監督が指導するチームは強い。

未熟な集団をレベルの高いところまで引き上げようと思えば、妥協はできない。未熟な集団のメンバーは、今の厳しい練習が、先々の栄光的な果実に結びつくことは、経験としては持っていない。だから、余計に厳しく感じる。

ある意味、レベルの高いところでのビジネスパーソンの仕事を論じれば同じことになる。

 

最近は、優しい上司が増えているように思うが、それは結局、部下の将来、顧客満足、会社への貢献などよりも、自分の満足を優先しているに過ぎない。

私は、創業してからは、上司という立場よりも、経営者としての立場が優先するので、私の純粋な上司体験は20代だけである。

そんな中で、もう一度、組織の中で上司の立場で仕事する機会があるとしたら、厳しい上司になるのは当然として、仮に会社が違う関係になったとしても、社会人として感謝されるような導きもしたいと思っている。

 

以上