近藤昇の「仕事は自分で創れ!」

「仕事は自分で創れ!」ブレインワークスグループCEOの近藤昇が、日本とアジアをはじめとするエマージンググローバルエリアに対する思いやビジネスについて発信します。

仕事のプロセスを共有できない人が多すぎる

仕事ができる人は、世の中に沢山いる。

十把一絡げ(じっぱひとからげ)で言えば、仕事が出来そうな人は皆一緒に見える。しかし同じ仕事ができる人でも、やり方の違いによっては、仕事ができる人の価値は雲泥の差になる。

 

そのやり方とは、仕事のプロセスを見える化するかどうかだ。

今、日本ではDXの必要性が声高に叫ばれている。今や全くITを活用しない、利用しない仕事はないと言っても過言ではない。

もちろん、まだまだ過渡期なので、従来の仕事のやり方というのは、あと10年ぐらいは残るだろう。しかし、加速度的な変化の中、IT活用を前提とした新しい仕事環境に適応していけるものが、これからの仕事ができる人ということになる。

 

その重要ポイントがプロセスの見える化である。

 

これをしない人は、総じて結果良ければ全てよしという考えで仕事していると言い切れる。当然、そういう人の中にも、自分のやっていることを、部下や後世に伝えたいと思っている人もいる。しかし、見える化ができていないと、今の時代は成り立たない。

経験と勘と度胸だ。仕事は俺の背中を見て盗め。こんな時代遅れなやり方しかできない人もまだまだ多い。

例えば典型的なのが、断トツでトップセールスの営業パーソン。今どきの中小企業でも結構存在する。経営的な視点でのリスクを言えば、その人に何かあったらどうするのか?完全に一人の仕事ができる人に依存したとてもリスキーな会社という事になる。これは、営業でなくても様々な業種、職種で実在する問題だ。

 

仕事のプロセスを記録できないと、今の様なIT時代には、共有化ができない。共有化できないと、そのノウハウや情報を二次利用して付加価値を付けることは当然できない。

ITを有効に使うという事は、記録できるものは記録する。そして、しかるべき人に共有する。何度でもその情報資産を活用できる状態にする。

 

こう言った知的資産価値経営の観点から言えば、完全に足を引っ張る人になってしまう。要するに、仕事ができるはずの人が、会社の足かせになるという事だ。 

これは、部分最適全体最適で考えてもよく分かる。特に、飛びぬけて仕事は出来るが、属人的な人は、個人最適であると私は定義している。

今どきの会社は、ITを上手に使えば、部分最適化の弱点を克服して、全体最適の実現にまい進できる時代である。

まして、企業同士のアライアンスも昔に比べて、オープンでフラットな形にどんどん進化している。それも、やはり、記録された情報を共有することによって促進される。

 

ここまでは、一応仕事ができる人の話である。

もっと厄介なのが、仕事ができない人である。全体の80%はそういう人がいるのが実情だと思う。何をやっても仕事ができない人が全体の10%はいるだろうから、こういう人は除いて考える。要するに、全体の60%から70%の人が仕事のやり方を変えると劇的に組織の成果は変わる。

 

それがプロセスの見える化と共有である。

ITを上手に使えば、実に効率よくしかも楽にできる。だが、残念ながら、大企業の人でも出来ていないのが、情報の共有である。

この情報共有化が日本で重要視されだしたのが、今から20年ほど前である。

 

その時は、できるだけ仕事ができる人が積極的に情報を発信して共有しましょう。という流れだった。私もこの考えで、長く試行錯誤した。でも結局、情報を活用しようと言う意識のない人は、幾ら情報にアクセスできたとしても活用できない。

 

これは裏を返せば、活用することの具体的なイメージや目的が分かっていないから、先の事に関して情報を共有すると言うことが出来ないのである。これからは、誰がアクセスするかではなく、組織活動の中で、できる限り活動プロセスを記録に残す。

そして、従来通りの仕事ができる人と、あとは、RPAとAIに代表されるITの上手な活用。これで組織は劇的にレベルアップできる。

社員の最低の義務は、仕事ができようができまいが、自分が行ったことは記録に残す。プロセスの見える化である。最低限これができれば、人事評価にしても、とても公平に判断できる部分が増えるのは間違いない。

 

以上